国土交通省は47都道府県と20政令指定都市を対象に土木、建築、機械の3工種に分類した不調・不落対策の導入状況をまとめた。取り組む団体が総じて多いのが受注者側のメリット拡大と位置付ける「余裕期間制度」。6割以上の団体が導入しているが建築工事の割合がやや低い形となった。入札条件の緩和で「等級要件の緩和」はいずれも半数以上の団体が取り組んでいる。このほか、「地域要件の緩和」「発注ロットの拡大」を5割の団体が実施している状況となった。
一番多く取り組んでいる余裕期間制度は、土木59団体、建築45団体、機械50団体が導入しており、制度が浸透している。また、発注ロットの拡大は土木が41団体で6割、建築、機械はともに29団体で半数以下にとどまるが実施している割合が高い。
入札要件の緩和については、工種別ごとの大きな傾向の差はみられない。等級要件の緩和は、土木が46団体、建築40団体、機械36団体で取り組んでいる。また、地域要件の緩和(復旧・復興JV以外)は、土木37団体、建築34団体、機械30団体が実施している。
また、工事実績に関する「同種工事の要件緩和」「発注機関の緩和」は約2~3割程度にとどまる。「復旧・復興JV」はさらに少なくなる。
以前より言われている予定価格と実勢の乖離について、防止策としての取り組みは「見積を積極的に活用した積算」を土木で29団体、建築、機械がともに20団体で導入している。ほかの間接工事費の補正(復興補正)、直接工事費の補正(復興歩掛)は、3~7団体と低調。
発注者支援となるCM方式は、いずれも3~4割程度にとどまっている。
技術者などの不足に対しては、現場代理人の常駐義務緩和など技術者要件の緩和、発注時期の偏りに対して発注・施工時期の平準化を図る団体も多い。
ちょこっと補足
工種間での差異が少ないのは、同一発注団体であれば、工種に関わらず同様の扱いをしている団体が多いことが伺える。また、発注件数自体が多い土木は不調・不落も必然的に多くなるので、取り組みが先行しているものと見られる。