国土交通省は1日付で、建設業関係120団体に対して下請契約や下請代金支払の適正化、施工管理の徹底などを求める通知を出した。一般的に盆暮れ通達と称され、例年、資金需要の増大が予想される夏と冬に要請している。公共および民間の主要な発注者に対しても送付している。今回は通常国会で成立した建設業法および入札契約適正化法の改正を受け、施行前ではあるが、その趣旨を色濃く汲み取った内容を盛り込んでいる。
新たに加わった部分は見積書関係で、建設工事に従事する労働者による適正な施工を確保するため、不可欠な経費(法定福利費等)を見積書に記載すること。原材料等の高騰に関し、価格等の変動または変更に基づく工事内容の変更および請負代金の変更額の算定方法に関する定めを契約書面に記載すること。請負代金に影響を及ぼす事象が発生するおそれがある場合は、受注者から注文者に請負契約の締結前までにその旨を通知しなければならず、発生後に受注者が請負代金の変更協議を申し出た場合、注文者は誠実に応じることを示した。
下請負人が必要経費を十分含んだ請負代金で、一人親方と書面にて契約を行うよう徹底する。
また、発注者と受注者それぞれが労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針に沿った行動を行うことや、安全衛生対策項目の確認表、標準見積書を活用し、安全衛生経費の内訳明示や適切に支払われるよう取り組む。
受注者は、契約締結前または変更契約が必要となる際に、時間外労働規制を順守した適正な工期が確保された見積りを作成し、発注者に提出するよう努め、発注者はその内容を確認し尊重するとした。
さらに、60日を超える手形が「割引困難な手形」に違反のおそれがあり指導対象となること、インボイス関係で下請負人との取引では消費税相当額の取引価格への反映の必要性、技能者の賃上げで5%を上回る上昇の申合せなどを要請している。