第3次担い手3法に関する国土交通省による全国での説明会が進んでいる。その中で、注目が集まっているのは処遇改善における労務費の基準、いわゆる標準労務費と、著しく低い労務費の判断基準。3月の中央建設業審議会で改正建設業法施行後にワーキンググループ(WG)を立ち上げ、標準労務費の検討を開始することが決定している。今回、9月以降に設置することを示している。著しく低い判断基準は、数値的な基準ではなく「警告事例集」といった建設業法違反のおそれのある行為などを例示した形でスタートするかっこうとなりそうだ。
適正な労務費(賃金原資)の確保・行き渡りでカギになる労務費。適正な水準の労務費が公共工事・民間工事を問わず、受発注者間、元請―下請間、下請間の全ての段階で確保され、技能労働者の賃金として行き渡らせる。中建審が「適正な労務費の基準」を作成し、これを著しく下回る見積り・契約締結を禁止し、違反した者は、法律上、勧告・処分の対象となる。
WGは▽標準的な労務費を中長期的にも持続可能な水準で設定▽請負契約締結の際に労務費の相場観を与える役割をもたせる▽廉売行為を規制するに当たっての参考指標としても用いる―ことを前提に議論を進める。
また、「著しく低い労務費」はどのように判断するのか。「労務費の基準」をベースに判断するのだが「著しく低い」の水準を「マイナス10%」などの具体的数値で「対外的に明示することには課題」がある。それは、実際に取引される労務費が下限マイナスゼロ%に張り付くおそれがあるからだ。
そこで考えているのが「警告事例集」による例示。業法違反が疑われる悪質なケースなどをまとめたものを想定しており、まずは違反となるおそれが想定される行為、違反となる行為の事例を示す考え。労務費基準の検討と並行して検討を進める。また、基準が運用されるようになれば、実際の違反事例を含めたものとし、元請・下請ガイドラインへ事例を盛り込んでとりまとめることも想定している。
また、取引現場に混乱を生じさせないよう柔軟に運用するとも。
運用が開始されると都道府県許可権者も判断を下す場面も出てくる。警告事例集を深掘りしたような判断のガイドラインも作成する必要もある。