国土交通省は、技能労働者への賃金支払い状況を確認する仕組みづくりに取り掛かる。まずは、直轄工事で仕組みの検討に必要な調査を行う。受注者から直接雇用する技能者の賃金データなどを提出してもらうとともに、当該工事の積算から想定される賃金との差異の程度を確認する。発注に当たっては、入札公告時に特記仕様書で調査対象であることを明示する。下請企業にも同様の対応を求める。
第3次担い手3法のうち建設業法の改正では、国が適正な労務費の基準をあらかじめ示した上で、個々の工事でこれを著しく下回る見積りや請負契約を、下請取引を含めて禁止する新たなルールが位置付けられた。ルールに実効性を持たせ、建設技能者の処遇改善実現には、発注者から支払われた労務費相当額が技能労働者まで適切に行き渡り支払われることが重要になっている。
そこで、国交省直轄工事で試行的に、技能者への適切な賃金支払い状況を確認する方法について検証(確認書類の提出方法、提出時期等)するための調査を開始する。許可権者が、提出された賃金データと経験年数、資格等の技能者情報を照合し、技能・経験に応じた賃金支払い状況等を確認する方法、結果公表のあり方について検討する。
発注者は発注時に調査対象であることを明示して公告。元請業者は調査対象工事であることを明示して下請け契約。2次下請け以下も調査への協力を要請する。
元請、下請業者が直接雇用する技能者の賃金データ等を許可部局へ直接提出する。対象工事への従事期間が分かる書類なども提出してもらう想定。それを受けて当該工事で想定される賃金と実際の賃金を比べ、差異の程度を確認する考え。検証結果を踏まえて段階的に取り組みを拡大する。