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長野県建設部北信建設事務所,長野県北信地域振興局,(社)長野県建設業協会中高支部,(社)長野県建設業協会中高支部,(社)長野県建設業協会飯山支部,(社)長野県建設業協会飯山支部

地元の受注機会拡大を/小規模工事の正当な評価も/活発に意見交換会

2024/08/31 長野建設新聞

 県建設業協会中高支部(下田諭支部長)と飯山支部(藤巻篤支部長)は28日、県現地機関との意見交換会を中野市内で開催した。支部は地元企業の受注機会の拡大や、猛暑を考慮した経費の設定を求めるともに、工事成績評定および優良技術者表彰のあり方について意見を伝えた。

 会合には両支部の会員や技士会役員、本会の福原初副会長など34人が出席。県からは北信地域振興局の小池広益局長、北信建設事務所の関一規所長をはじめ両機関の幹部職員が参加した。

 懇談では入札・契約制度や施工管理に関して、支部が事前に取りまとめた意見・要望に対し県側が回答する形で進められた。

 地元企業の受注機会の拡大については、支部が「地域要件を中野または飯山事務所管内に限定する案件を発注できないか。また、総合評価落札方式において当該市町村の企業に加点を手厚くしてほしい」と要望。舗装工事における一抜け方式の積極的な採用も求めた。これに対し県は「参加資格の地域要件は10ブロックが最小単位であり、事務所単位とすることは現時点で難しい。総合評価の加点については慎重かつ丁寧に検討する。舗装工事の同時発注では一抜け方式を前提に考えていく」と回答した。

 また、総合評価落札方式におけるICT活用工事や週休2日の実績項目について「受注機会の減少により、実績を作れず、加点がなく落札できない悪循環になってしまう。評価対象期間を延長してほしい」との要望も出た。

 暑さ対策に関しては「猛暑時はこまめに休憩をとる必要がある。残業規制もある中、1日の実働時間はどうしても減ってしまう。熱中症対策に資する現場管理費の補正はあるが、さらなる労務単価の増額等が必要」と訴えた。これに対し県は「労務単価については国の基準に沿っており、この動向を注視する」と述べるにとどめた。

 設計成果に関する意見も多く出た。「図面の修正等が必要になり、着工が遅れる傾向にある。設計の納品時はもちろん、工事の発注前に再度現場や図面を照査してほしい」「工事受注後、状況や条件の変化により当初設計図面等に重大な差異が生じた場合、変更設計の検討や図面の作成を行う負担が非常に大きい。国のように『三者会議』や『設計審査会』を設置し、工事着手前から完成までの間、情報を共有し、重大な修正が必要となった場合、発注者から設計者へ依頼できるようにしてほしい」といった要望が上がった。

 県は「適宜十分な確認を行い、指摘いただいた事案がないよう努める。また、本県にも『工事施工三者協議』というものがある。発注時からの協議が原則だが、必要があれば途中から行うことも可能なので相談してほしい」と回答した。

 工事の評価に関しては、成績評定ついて「全ての技術者は多くの苦労を乗り越え竣工を迎える。ただ、工事の規模や内容により管理項目に多寡があり、項目の少ない工事はどれだけ良いものを造ろうとも点数が伸びない」、優良技術者表彰制度についても「小規模な工事は選ばれずらいと聞く」などとし、改善を求めた。県は「成績評定については4月に要領を見直し、維持補修などの評価例示を追加している。優良技術者表彰は成績評定の対象工事であれば金額による制限はない。なお、2025年度からは現行の成績評定に基づく選定ではなく、発注機関の推薦方式となる予定」と伝えた。

 懇談後、関所長は総評で「人件費や資材が高騰し、同じ規模の仕事でもお金がかかる。次世代のため、インフラ整備への投資を怠ってはいけない。地域を支える皆さんが健全に経営していくためには、仕組みとともにお金も必要。いただいた意見は本庁へしっかりと伝える」と述べた。

 これを受けて藤巻支部長は「意見・要望に懇切丁寧に回答いただき感謝申し上げる。県には予算をしっかり確保していただき、われわれは良い仕事で応えていきたい」と謝辞を述べ、福原副会長は「当地区は県内でも労働力人口の減少が顕著。建設業は持続性がなければいけない。地域を守る担い手がいなくなれば未来は暗い。建設業が魅力ある産業となるよう協力をお願いします」と締め括った。

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