国土交通省は2025年度の次期技術基本計画策定に向けた技術政策の方向性検討で、中間とりまとめ案を明らかにした。社会インフラ整備に対し「国による技術開発の一貫した力強いけん引」「研究・開発の投資の強化・効率化」「社会実装の円滑化・加速化」の視点から技術政策の方向性をまとめた。特に、国は技術開発の推進へ目標やニーズを示し、開発から普及まで必要な支援、自らの投資を行い、総合的に価値の高い技術開発を誘導すべきとの立場を鮮明にしている。
28日に開催した社会資本整備審議会・交通政策審議会の分野横断的技術政策ワーキングに示したもの。ワーキングでは技術開発の基盤、社会実装、国際展開、人材育成という、個別技術分野を横断するテーマを議論。検討の前半として技術開発と社会実装の部分についてまとめている。
国による技術開発に関しては、政策の目標や技術開発のニーズを重点的に示すとともに、民間企業にはリスクが高く困難なものは強化すべき領域を設定して支援・投資して誘導すべき。また、技術は試行・評価・改良の繰り返しが必要なため、プロジェクトベースで先行的に活用するための仕組みを構築すべきなど、力強いけん引の考え方を示した。
研究・開発の投資強化・効率化で国は、異分野の技術導入に向けて大学や異分野企業との連携を強化。開発成果は共有を図るべきとした。また、産学官は、競争領域の発展を促進させるため重複投資を避けるなど効率化を図る。成果を産業全体で共有できるような協調領域の検討を進める必要性を指摘した。
社会実装に向けて、国には▽総合的価値の評価手法▽実態に即した積算基準の整備▽技術の費用の評価では金銭的・人的・社会的コストを考慮▽新技術を前提とした施工管理や検査などの新たな仕組み検討▽新技術を導入しやすい調達方法の導入促進▽品質・性能の確保へ研究機関や第三者機関の認証などの仕組み構築―などを求めている。
新技術を導入しやすい調達方法の導入促進とは、設計施工分離の考え方を改め、ECI方式の対象を拡大、設計時に施工の知見を取り入れやすくするというもの。施工者が設計業務へ技術協力を行うことで導入しやすくする。
中間とりまとめは委員からの意見などを踏まえ、9月中に公表となる。10月からワーキングは国際展開、人材等をテーマに検討を再開。年度内に全体をとりまとめる。