建設業の人材確保・育成に向けて、国土交通省と厚生労働省は連携して関連施策を進めており、2025年度概算要求では人材確保、人材育成、魅力ある職場づくりの観点から必要額を求めている。このうち厚労省の関係では、建設事業主等に対する助成金による支援として69億円を要求した。人材確保等支援助成金で建設キャリアアップシステム(CCUS)等活用促進コース(仮称)を創設し、中小建設業事業主が行う雇用管理改善の取り組みを支援する。
活用促進コースは、普及促進コースを廃止して新たに作るもの。コースの雇用管理改善促進事業で、技能者の能力・経験に応じた適切な処遇へCCUSを活用した取り組みが支援対象。なお、廃止のコースにあった登録手数料に関する助成は普及促進事業として25年度末まで継続実施する。
CCUS関係では、人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)で、建設キャリアアップカード登録者について賃金助成額を1・1倍にする制度は25年度末まで延長する。
働き方改革推進支援助成金による支援は70億円を求めた。生産性を高めながら労働時間の短縮等に取り組む中小企業・小規模事業者や中小企業で構成し、傘下企業を支援する事業主団体へ助成を行う。建設業など時間外労働の上限規制が4月から適用された業種は、他の業種と比べて労働時間が長い実態があることも踏まえ、専用のコースを用意し、引き続き助成を行う。
中小建設事業主等に対する建設労働者育成支援事業の要求額は4・9億円。また、建設分野におけるハロートレーニング(職業訓練)の実施では1・3億円を盛り込んだ。
雇用管理責任者等に対する研修の実施には8200万円を充て、「コミュニケーションスキル等向上コース」を開催。高等学校(工業科、普通科)や高等専門学校の先生・生徒と建設業界のつなぐ化事業は2800万円。出前授業や現場見学会等を実施する。
建設業の一人親方等の安全衛生対策支援事業の要求額は1・1億円で、労災保険に特別加入している一人親方等に対する安全衛生教育、入場している工事現場への巡回指導を実施する。
建設業における墜落・転落災害等防止対策推進事業には8700万円。専門家による診断の実施、診断結果に基づく現場への指導・支援などを行う。