第6回県「文化と知」の創造拠点整備構想策定検討委員会(委員長・須賀英之宇都宮共和大学長)は10日、事務局が整備構想案を説明した。県内各地からのアクセス性に優れた県体育館跡地3万4000平方m(宇都宮市中戸祭1丁目)に総延べ床面積3万6000平方mの美術館、図書館、文書館を一体的に整備。固有スペースを確保しつつ、共有スペースを設ける。整備スケジュールは計画設計に3~5年、工事に3~4年、開館準備に半年~1年を見込んでいる。
福田富一知事は「昨夏の第1回以来、最終回を迎えた。有意義な提案があり、ワークショップやアンケートを踏まえて構想案をまとめた。パブリックコメントを経て策定する。将来にわたり県民に愛され、誰もが誇りに思える施設となるよう祈念する」とあいさつ。
施設と設備の共用共通化による効率性向上に加え、3施設の連携や相互利用、交流促進によって新たな活動や魅力を創出。コンセプトはとちぎの文化と知を「開く」「つなぐ」「育む」拠点。「デジタル」「共生社会」「環境配慮」「地域連携」の機能と役割を果たす。
「開く」は静穏ゾーンとにぎわいを許容するゾーンを区分することにより様々な利用形態に対応。「つなぐ」は多様な主体が交流し、ライフサイクルコストや環境負荷を低減し長く利用。「育む」は時代の変化や様々な表現活動に対応できるフレキシブルな施設。
各館の延べ床面積は美術館1万5000平方m、図書館1万8000平方m、文書館3000平方m。県産材や伝統工芸品を活用し、とちぎらしさが感じられる施設整備が目標。設備やスペースを合理化し、相互利用により拠点の魅力を充実させる。
共用が考えられる諸室は収集保存が燻蒸室、撮影室、搬出入スペース。展示公開はギャラリー、アートライブラリー。教育普及は講堂、多目的室、学習室。アメニティはレストラン、ショップ、エントランスホール、キッズルーム。その他は執務室、会議室、機械室。
敷地利用は県民や来県者の憩いの場となる広い屋外スペース、屋外での様々な表現展示活動、ユニバーサルデザイン、多方向からアプローチできる開放性とセキュリティの両立、安全で円滑な動線、公共交通との連携、周辺環境や景観との調和に配慮する。
企画運営部門を設置し拠点の統括や企画の立案、運営、全体の調整、総務事務を担当。関係法令に基づくコア業務の専門職員を配置する。年齢や居住地、障害の有無に関わらず全県民が利用しやすい仕組みを整え、デジタル技術の活用で遠隔や広域利用を促進する。
現状は美術館が敷地1万2627平方mにRC造地上5階地下1階建て延べ6195平方m。図書館は敷地4786平方mにRC造地上4階地下1階建て延べ5320平方m。県庁南館内の文書館はRC造地上5階地下2階建て延べ1952平方m。
築年数は美術館が53年、図書館が54年、文書館は39年が経過。課題は美術館と図書館が老朽化、バリアフリー対応不足、建物の視認性が低い、駐車場不足、手狭、デジタル化対応不足。文書館は県庁舎内にあることから認知されにくく、資料閲覧スペースが狭い。