JAC主催の「Japan Construction Industry HANDS-ON WORKSHOP」のオープニングセレモニーでは、参加している教員たちに向け安心して教え子たちを日本へ送り出せるよう、国際建設技能振興機構(FITS)の神山敬次専務理事が取り組んでいるサポートを紹介した。また、杉田昌平弁護士は、新卒採用を受け入れる日本の国際労働市場における特徴と安全対策について説明した。
FITSは、国土交通省により定められた唯一の中立・独立的な「適正就労監理機関」。神山専務理事は、来場した教員に向けて「育てた教え子たちが、日本で安心して働けるよう、全力でサポートする」と話し、JACと協力して実施している3つのサポートを説明した。
一つ目は、特定技能スタートアップセミナー。日本の建設会社へ入社後、同じ技能を有する日本人と同等額以上の給与が教え子たちに安定的に支払われているか、労働条件のチェックを行うなど、不安を解消するようにしている。
二つ目は、受入れ企業の巡回指導。会社の社長との面接とは別に、秘密厳守で、本人と個別の面談や質問、相談を受け付けている。
三つ目は、いつでも母国語で相談できるホットライン。インドネシア語で、電話、メールで、FITSに相談できるよう、フリーダイヤルの電話番号を書いたFITSホットラインカードを渡している。
杉田弁護士は、日本の特徴は▽技能労働者の受入れを積極的に行っている▽新卒採用を行い社内育成を行うため、技能の形成を行いやすい▽労働安全衛生の水準が高く、安全な就労環境である―の3点を挙げた。
日本は、韓国・台湾・オーストラリアと並び、技能労働者の受入れを積極的に行っている代表的な国の一つ。日本は経済規模が大きいため、受け入れ人数が多い国。すなわち、働くチャンスが多い国である。
また、日本は仕事をした経験がない人を積極的に採用する「新卒採用」という慣行がある。日本の企業は未経験者を採用し、雇用する中で育成する企業文化や仕組みがある。そのため、日本は、技能の形成やキャリアアップをしたい外国人に多く選ばれている国という特徴が際立つ。
最後に、日本の労働安全衛生は世界でもトップレベル。外国から日本に働きに来た人も、日本人と同じ労働安全衛生のルールで守られる。安全器具についても日本人と同様に装着する。多くの建築現場では、外国人も一緒に日々、危険予知作業という安全確認を行う。そのため、日本で働く外国人の労働災害の発生も少ないと言えると結んだ。
※次回「建設業務体験」に続く