インドネシアから日本へ技能実習生や特定技能者を送り出しているOS SELNAJAYA(セルナジャヤ)で、同国の実態について聞いた。特定技能制度が始まり、日本の受入れ企業側のニーズが高まり、建設人材はベトナムという流れから、インドネシアが台頭してきている状況だ。さらに、同社は自社研修施設があり、職種に見合った技能研修、日本語教育を行うなど、受け入れ先のニーズにあった人材の送り出しを進めている。
同社はアウトソーシング(東京都千代田区)のインドネシアの現地法人として2015年から活動開始、送り出し事業も同年にスタートした。送り出し事業者としては後発だが、日本への送り出し人数は同国で2番目に多い。技能実習、特定技能にこだわらず日本で働きたい若者のチャンスを叶える活動を進めている。送り出し人数はコロナ前の19年が約600人、コロナ後の22年はコロナ禍で渡航できない待機者もおり、倍の1200人。昨年はインドネシアに対して急速に理解が深まり約2400人と2倍になっている。
もともとは製造業に強く、大半が自動車メーカー関連だった。特定技能制度ができるまで建設の割合は6~8%程度。特定技能に関しては21年の送り出し全体の2割強か3割弱程度。しかし、23年は技能実習6割、特定技能4割、今年は半々になると予測。急速に特定技能が増加しており「ニーズがどんどんシフトしている」状況だ。また、建設に関しても割合が増え一番多いのは製造だが、介護、飲食料品製造と建設で2番手グループを形成、15%強まで広げている。
これまでは圧倒的に建設人材はベトナムだったが「建設人材もインドネシア」と急速にニーズが広まり、同社の特定技能人材の中のシェアが来年度は20%を超えると予測している。
技能実習、特定技能の中で一番の問題点として「ブローカーの介在」をあげる。本来必要ない経費、費用が発生し、結果的に本人たちが借金を背負う。インドネシア人の気質として、借金をするのが好きではない、借金は恥ずかしいというのがある。同社の場合、技能実習生は日本語学校や専門学校的なところから、特定技能に関しては、9割以上が学校や労働省などのセミナーで直接声をかけている。他者を介在させず本人の負担を軽減することで、技能実習での失踪、特定技能での早期離職を防げるとみている。
なお、同社は教育に力を入れている。教育を外部に依頼するところも多いそうだが、技能実習、特定技能全て自社の研修センターで対応。建設に特化した研修センターもある。それだけ日本の建設業からのニーズ、インドネシアの若者のニーズが強いということだろう。いずれも寮生活で1日8時間、勉強と体力トレーニング。例えば建設の場合、現場でやる作業をできるだけ取り入れている。日本の建設業団体と連携し、実技を身に着けてから送り出す。受け入れ企業側からも現場で活躍できると歓迎されている。特定技能は日本語でコミュニケーションがしっかりとれ、技術もある。特定技能のニーズが高まる理由になっている。
※次回、「JACの活動」に続く