建設技能人材機構(JAC)のインドネシアにおける活動は、同国の優秀な建設人材を日本に送り出すための支援として不可欠なものとなっている。また、企業や団体側のニーズに応じて支援のバージョンも増やす一方、ジャカルタにとどまらず同国全体を対象として草の根的に各地の学校巡回なども進めており、人材獲得競争の中で奮闘している。
JACが実施している研修や講習に対する支援は3タイプある。一つは現地で行う就労を希望する外国人への研修等に対する支援。これは、特定技能の評価試験の合格者も含めたもの。正会員団体が行う▽就労を希望する外国人に対する技能に関する研修・講習(座学・実技)▽採用を希望するものに対する各職種の周知活動や個別面接等の実施(職種説明会)▽双方を一体的に実施―に対して支援している。
職種説明会や研修などを正会員団体が行う場合、会場の確保や運営、募集などの業務について、現地でのノウハウがないためセルナジャヤなどの機関に委託する。事業計画に位置付けていれば委託した経費も支援の対象になる。また、試験合格後、受入計画の審査やビザの取得に時間がかかり3~4カ月の滞留期間が発生する。それを逆手に取って、JACの支援で日本語教育や技能訓練などを行うことで、さらにレベルを上げ、自信を持って日本の現場に臨むことができる。
さらに、試験の前から技能訓練や日本語研修をJACの支援で行っていくことで、試験後の研修も合わせて高みを目指す支援のバージョンも考えており、インドネシアをモデルに他の国でも展開していきたい考えもある。
このほか、日本に来た後が対象となるが、スキルアップ技能研修に対する支援、特別教育・技能講習等による資格取得に対する支援事業がある。
インドネシアでの支援による活動が本格化したのは2023年7月に現地での特定技能1号評価試験開始が契機。6月末までに職種説明会、技能訓練(座学・実技)が併せて10回開催されている。鉄筋、型枠、コンクリート圧送などの躯体系の団体が実施主体になっている。単独の場合もあれば、各団体が協力して合同で開催するパターンも多い。
10月以降は、各地の工業高校などの訪問を開始する。草の根的な巡回訪問と位置付け、Japan Construction Industry HANDS-ON WORKSHOPでの学校側の意向を把握、活動地域と学校を増やしていく考え。ジャカルタ、ジャワ島に捉われず、各地に展開して、建設人材の確保を支援していくJACの活動に対する期待は、大きなものになっている。
※次回「総論」につづく