国土交通省は2025年度予算の概算要求で2億4500万円を求めた建設業法の実効性確保について、取引実態の把握調査と建設Gメンによる実地調査の拡充などを行う。大臣の調査権限が広がり調査対象が、都道府県知事許可業者を含む全てとなっているため、下請け取引等実態調査の範囲を小規模事業者も含めた形で拡大させる。不適正な取引の抽出精査、建設Gメンの効果的な調査へICT活用やサポートの導入を検討している。
これまで地方整備局には通報ホットラインがあるが、今後は通報件数の増大が想定されるため、ICTを活用した通報や相談窓口を設ける考え。例えばWEBで問い合わせフォームを作る、チャットポット的な受け答えを行うことなどを考えている。
通報に対する対応は、現状でも手一杯な状況。今の体制で通報件数が増大した場合、全てを丁寧に扱えるかは難しくなってくる。だが寄せられた情報も真偽を含めて濃淡がある。そこでICTを使い、入口の部分でよくあるQ%A的なものと仕分けることができれば、人手は真に重要な部分に充てられると考えている。
もう一つ新規で検討しているのがGメンによる効果的な実地調査。現在、全国で135人のGメンがいるが、人員増強を含めた体制の拡充を行うもので、補助する人員を委託などの方法で対応できないか検討する。ICTで振り分け対応する情報も大量になることを見越して、情報を分析・整理してGメンに「つなぐ」「つながない」といった仕分けができる補助員を手当したい考え。Gメンが事業所に入っていく際も、書面審査でかなり時間が取られる。限られた人員を効果的に機能させるためには不可欠な対応と見ている。
建設資材の適正かつ有効な利用の推進は、建設発生土の搬出先確認制度、ストックヤード運営事業者登録制度の制度浸透・徹底へ継続的なフォローアップが必要としている。だが、制度運用しはじめたところであり、集まってきた事例に対し詳細な深掘り調査をしていく形。何らかの対応が必要になった段階で、別の動きも出てくる。
なお、建設業法令順守推進本部の24年度活動方針では、建設Gメンの実地調査で、3万社を対象とする書面調査を行い、実地調査の端緒として活用することが決定しており、25年度のさらなる拡充を行うことになるようだ。