県芳賀農業振興事務所は中山間地域総合整備の具体化に向け、調査中の茂木地区の事業計画を今年度末までに固める。逆川流域を中心とした16地区で用排水施設などの農業生産基盤を整備。用水路と排水路は12地区180路線約4万2000m、取水堰は5地区11カ所、揚水ポンプは4地区6カ所、農道は2地区9路線2463mを整備。圃場は下菅又で1・5haを整備する計画。地域活性化施設を「いい里さかがわ館」(飯)の隣接地に建設する。総事業費は約20億円規模になる見通し。2025年度の事業着手を目指している。
中山間地域総合整備事業は、農業生産基盤と併せて集落道、地域活性化施設といった農村生活環境基盤を整備。町内では02~09年度に茂木北部、11~19年度に茂木南部の県営事業が行われた。茂木地区の事業化によって継続的な整備が実現。町全域の農業生産基盤と生活環境基盤の整備完了を目指す。
計画地区は逆川のほか神井川、鮎田川、菅又川の沿岸。受益面積の合計は約310ha。
農業用用排水施設は小貫(上、中、下、吹田)、飯(上、下)、小山、北高岡、飯野東、上神井、下神井、上鮎田、下鮎田、林、上菅又、下菅又の16地区で用水路、排水路、堰、揚水ポンプを整備する。
計画している用排水施設整備の事業量は、用水路が12地区122路線・総延長3万1770m、概算事業費9億4100万円。排水路は10地区58路線・1万199m、事業費3億9760万円。揚水ポンプは2億700万円、堰は1億7900万円。
用水路の主な整備地区と事業量は、小貫下13路線・6518m(概算2億700万円)、小貫中25路線・7174m(1億9500万円)、小貫上23路線・6342m(1億7600万円)、下菅又6路線・2006m(7700万円)。上鮎田、下鮎田、林、北高岡、飯野東、上菅又などでも実施する。
排水路の主な整備地区と事業量は、林22路線・2948m(1億1300万円)、北高岡6路線・1771m(7200万円)、小貫下10路線・1976m(6700万円)、下菅又5路線・1511m(6600万円)、上菅又5路線・756m(2900万円)。下鮎田、飯野東、小貫中、小貫吹田などでも実施する。
堰の改修は飯上で2カ所(8100万円)、小貫上で5カ所(4000万円)を予定するほか、上神井2カ所(1500万円)、下神井1カ所(3500万円)、林1カ所(800万円)を計画。
ポンプ整備は北高岡3カ所(8500万円)、小山1カ所(4800万円)、飯下1カ所(4300万円)、飯上1カ所(3100万円)。
農道は林で5路線・1082m(3700万円)、北高岡で4路線・1381m(6100万円)を計画。下菅又の圃場整備は水田で事業費5900万円を見込んでいる。
地域活性化施設は、主要地方道宇都宮笠間線沿いにある、さかがわ館の東側隣接地に木造平屋建て約200平方mの建設を予定。屋根に太陽光発電設備を設置し、施設の維持管理費やCO2排出量の抑制につなげる考え。事業費は約1億1200万円を想定している。
事業計画では中山間地の不利な生産条件を解消するため、スマート農業の導入に必要な情報通信基地局施設の設置も予定している。県農政部は24年度に事業計画を樹立し、国に採択申請する方針。(3面に各地区の整備概要)