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茨城県石岡市

5800㎡、74億を提示/25年度から基本実施設計

2024/09/27 日本工業経済新聞(茨城版)

 石岡市は、鹿島鉄道跡地に計画中の複合文化施設について、規模を5825㎡、総事業費は約74億円と試算した。事業手法は、設計と施工を分離発注する従来方式を想定。2030年度の供用開始へ、審議会による最終答申を10月28日に行う予定だ。年度内に基本計画を策定し、25~26年度に基本・実施設計、27~29年度に本体工事と進めていく。本事業では、市議会で駅東地区への建設計画に対する反対決議が可決されている。


 20日開催の第3回整備審議会では、施設計画および概算事業費が明らかになった。施設計画では、メインホールの座席形式を可動式とする方針を示した。舞台サイズは設計段階で協議するとしている。

 概算事業費に関しては、施設規模を5825㎡と仮定した場合の総事業費を73・9億円と算出。内訳が、施設本体工事費58億2500万円、杭工事費2億8371万4200円、設計工事監理費約5億4000万円、外構整備費約1億5000万円、備品購入費約2億6000万円、土地取得費約2億8000万円となる。

 財源として、国庫補助金15億円、合併特例債(30年度まで延長予定)36億1000万円、公共事業等債8億3400万円、複合文化施設整備基金10億円、一般財源3億9500万円を見込む。

 施設の機能および規模は▽メインホール=1800㎡▽サブホール=500㎡▽市民ギャラリー=400㎡▽アトリエ・工作室=60㎡▽音楽スタジオ=60㎡▽和室=90㎡▽図書スペース=1140㎡▽会議室(大1、中1、小2)=計325㎡▽学習スペース=1140㎡▽調理室=60㎡▽キッズスペース=200㎡▽民間テナントスペース(カフェ、直売所など)=50㎡-を想定。

 委員からは、図書スペースと学習スペースの一体化など、施設規模の縮減に向けた検討を求める意見が出た。調理室などに関して周辺の他施設との機能分担を求める声も上がった。執行部は「公民館などは老朽化も進んでいる。事業費とのバランスを見つつ、必要な機能を検討していく」としている。

 事業手法に関しては、設計、施工を分離発注する従来方式で進めたい考え。整備スケジュールとの兼ね合いから、PFIなどの手法については採用困難であるとしている。設計の時期や方法については検討中。ま管理運営方式に関しては指定管理者制度の導入をベースとする。積極的な市民参加に向けた体制づくりも進めていく。

 今後のスケジュールとしては、第4回審議会を10月16日に開催予定。市長への最終答申は同月28日に行う。現在、基本計画を横須賀満夫建築設計事務所(水戸市)がまとめている。

 本事業は、ホール機能を中心とした文化芸術活動の拠点を整備するもの。7月の第2回審議会において、建設地を駅東地区の鹿島鉄道跡地(石岡地内、約7700㎡)とする方針を示した。しかし、9月市議会定例会において「複合文化施設を駅東地区へ建設する計画に反対する決議」が賛成多数で可決され、先行きは不透明。

 谷島洋司市長は今回の審議会に際し、市議会による反対決議について「重く受け止め、今後の市政判断を慎重に進めていく。一方で、決議は審議会の判断には影響しないと考えている。より良い施設建設に向け、議論を継続してほしい」とコメントを寄せた。

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