7月に就任した吉岡幹夫事務次官は、全国に組織がある国交省は「現場力が源泉。現場の力を生かして責務を果たしていくことが大事。また、仕事の幅が幅広いため連携が必要でその力を発揮していかなければならない。さらに、建設業の担い手確保の問題もあるが、われわれの職場も働きやすい、風通しの良い職場を作らねばならない」と抱負を語った。
建設分野の基本的な施策の方向性として2024年問題を挙げた。どうやって「持続可能な産業、選ばれる産業にしていくのか。そのためには担い手の確保が必要だ。6月に第3次担い手3法が成立しており、処遇を改善する、働き方を変える、生産性を向上させる取り組みを進める」と話す。設計労務単価は連続して上昇しており、第3次担い手3法では標準労務費、週休2日の拡大、生産性向上でICTの取り組みを進めることなどを進める姿勢を明確にした。
2025年度予算の概算要求に関して特に注力したい政策は「事項要求だが防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策。それから資材高騰など対応した必要な予算の確保をしっかり進めていかなければならない」を掲げた。このほかにも、多発する自然災害に対しての復旧・復興、事前防災対策、日頃のメンテナンス。大規模災害への備えや建物の耐震化、社会資本整備(道路、港湾等)、GX、DXなどにも力を入れる考えを示している。
第3次担い手3法の今後の動きについて「品確法はこれから基本方針、運用方針として、法律に魂を入れる作業を進め、まとめる。建設業法は標準労務費の基準を作成して勧告するため、中央建設業審議会にワーキングを作り議論を開始した。来年末までには施行しなければならない非常に大変な作業だが、しっかり議論したい」と話す。さらに「生産性向上でICT関係の方針や技術者配置の合理化などは年内に政令やガイドラインをまとめる」と方向性を示している。入札契約適正化法は適正化方針を示すため「品確法と歩調を合わせて進める」。法律が決まり「具体的な運用に向けて決められたスケジュールと期限があるものもあり、しっかり関係者と議論し、1日も早くまとめたい」と決意を示した。
国土強靱化に関しては「もともと日本は災害を受けやすい位置で、台風や地震など、先祖も工夫してきた。それをちゃんと続けなければいけないと思う。具体的な対策も継続的に安定的にやっていかなければならない。必要なものはしっかり確保するということが大事」との見解を示した。
趣味は落語と映画鑑賞。観る映画は、奥様がセレクトされているとのこと。
【略歴】よしおか・みきお
1986年東京大学工学部卒業、建設省採用。国交省道路局企画課道路事業調整官、道路局企画課道路経済調査室長、道路局高速道路課長、道路局企画課長、北陸地方整備局長、道路局長、技監を経て7月より現職。1963年7月14日生まれ、神奈川県出身。