7月に就任した国土交通省の廣瀬昌由技監は「将来どのような形の国、地域になっているかを考えて、取り組むことがより必要になっている」とバックキャスト型の考え方が重要だと語る。また今後は生産性向上に関して省人化、また、国土強靱化実施中期計画策定などについて見解を示した。
今求められているキーワードの多様な「連携」。それと国交省の強みである「現場力」。この2つが生かされた例に、能登半島地震の災害対応を挙げる。大雨被害も発生し、日本の災害に対する脆弱性を痛感したというが、「国交省の職員がテックフォースとして、あるいは自治体職員が現地に行き、建設業者と一体となって対応している。現場力とその連携が実装されている」と感じている。
また、人口減少下で、生産性を上げていくことも大きな課題。i-Constructionでの「ICT土工のインパクトが大きかった」と振り返り、「今度は省人化ということで2・0を進めていくことが必要だ」と課題解決へ期待を込めた。一つのものが単目的ではなく多目的、技術開発が一つの分野だけではなく、他の分野にも効果を発揮する「一つのものがその複合的な価値をしっかり生んでいくことが大事。それを技術開発が支えていくということが必要になってくる」との見解を示した。
国土強靱化に関して3か年緊急対策、5か年加速化対策は、中期的に計画が示され安定的に予算が確保されることで「業者側も計画的に人材や機材を準備するなど投資を含めて戦略的に経営できたのではないか。整備面では発注者側も国道と県道の連携がやりやすくなるなど整備のスピード感が分かり、連携がとりやすくなった」と効果を示す。実施中期計画については「必要な事項を盛り込んだ上で進めることが大事。内閣官房国土強靱化推進室としっかり連携を図りたい」と。
公共事業費については、設計労務費上昇や物価高騰などもあり事業費を確保できても事業量が安定的に確保できなくなっているとの見方を示し、「必要な事業量を確保できる事業費を確保させていただくことが大事」と思い、今回の概算要求でも必要かつ十分な予算を安定的に確保していくとの考えで、「前文に近年の資材価格の高騰の影響等を考慮しながらとさせてもらい、物価増も賃上げも、しっかり飲み込んだ形での予算の確保を」求めている。
第3次担い手3法でいくつもの新しい取り組みが出てくる。直轄事業は「新しい施策に取り組むときのリーダーとしてやっていく。取り組みを加速化しけん引していくことが非常に大事だ」と考えている。
リフレッシュにはランニングで汗を流すほか、スポーツ観戦も楽しむ。ランニング中は、携帯の呪縛から離れ、心の余裕が生まれるという。
【略歴】ひろせ・まさよし
1990年京都大学大学院工学研究科修了、建設省採用。国交省水管理・国土保全局河川計画課長(併)内閣官房副長官補付(命)内閣官房水循環政策本部事務局参事官、大臣官房技術審議官、関東地方整備局長、水管理・国土保全局長を経て7月より現職。1965年9月8日生まれ。京都府出身。