県栃木土木事務所は、栃木市の1級河川巴波川大町工区で2027年度にも第3遊水地の掘削工事に着手する。遊水地を整備する川原田東市営住宅居住者の移転と解体が25年度に完了。県は26年度に用地取得を行い27年度から3カ年で工事を実施する見通し。今年度はふたまた橋下流左岸の用地取得を進めており、後年度の河道拡幅工事に備える。未整備区間685mには下流側から市道C30号橋、私道橋、市道1024号線ふたまた橋の3橋梁を架け替える計画。
巴波川大町工区は一般県道栃木環状線の北側に位置。市街化が進展している地域で最小限の河道拡幅と築堤、5カ所の遊水地で氾濫被害を抑止する。河道は800mのうち下流側115mが完了。遊水地も下流側の第1と第2が概成し、上流端の第4と第5が土羽による暫定整備を完了した。
河道は標準断面で天端16・45m、河床幅12・1mに拡幅。河床を掘り下げ片側の堤防天端3mの管理用道路を確保する。
27年度着工を見込む第3遊水地は右岸側に面積9722平方m、容量1万1261立方mを確保。川原田東住宅は簡易耐火構造13棟60世帯で構成。今年度に6棟、25年度には7棟を解体予定。解体撤去した跡地を県は26年度に取得する。
遊水地は上流端左岸の第4が面積6735平方m、容量6039立方m。上流端右岸の第5は面積1613平方m、容量1653立方m。第4と第5を合わせた暫定容量は河道部分を含め9953立方m。
概成済みの第2が面積2933平方m、容量2336立方m。第1は面積1万1663平方m、容量1万209立方m。
架け替える橋梁のうち市道C30号橋の新橋は橋長19・9m、幅員6mでA活荷重。下部工が逆T式橋台2基、上部工はプレテンション方式PC単純中空床版桁。
ふたまた橋は橋長19・4m、幅員7mでA活荷重。下部工が逆T式橋台2基、上部工はプレテンション方式PC単純中空床版桁。架け替えに伴い下流側に迂回する仮設橋を設置する。
私道橋の設計は未実施。河道拡幅工事の進ちょくを見ながら実施時期を検討する。河道、遊水地、橋梁の詳細設計はオリエンタル技術開発が手掛けた。
河道整備のうち第3遊水地と下流側は、遊水地に併せ用地を取得し工事を実施する計画。上流側の河道と2カ所の遊水地の完成形整備は第3遊水地の貯留機能を確認。30~33年度をめどに用地取得を進め工事を実施。33年度の完了を目指す。
全体事業費は27億円。残事業費が17億7000万円。内訳は用地補償12億2000万円、掘削など遊水地整備3億1000万円、築堤や護岸など河道整備は2億4000万円。