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【国交省就任インタビュー】課題解決と価値創造/山本巧道路局長

2024/10/09 本社配信

 7月に就任した国土交通省の山本巧道路局長は、社会のニーズに応えるため道路インフラはどうあるべきかを議論して仕事を進めている。さまざまな課題に対し従来の施策に加え、昨年度策定したWISENET2050により「新時代の課題解決と価値創造につながる道路行政を進めたい」との考え。さらに、DX、ビッグデータやAIの利活用、新技術の開発・活用等、新たな取り組みへ積極的にチャレンジし「建設産業の生産性向上につなげていく」と決意している。

 能登半島地震では、高規格道路から市町村道に至るまでの道路ネットワークが大規模に被災した。耐震性や復旧性の観点を中心に「災害時に確実に機能する道路ネットワークのあり方について改めて検討が必要」と認識。防災・減災、国土強靱化に向けた道路の5か年対策プログラムに基づき「高規格道路の未整備区間や暫定2車線の4車線化等を推進、強靱な国土幹線道路ネットワークの構築」に取り組む。

 さらに、高速道路の整備延長は伸びたが、都市間移動時間などサービスは決して十分ではないとし、「パフォーマンス・マネジメントによるサービス向上を目指す。引き続きWISENET2050実現へ政策展開を通じ、新時代の課題解決と価値創造に貢献する」と話した。

 道路インフラの老朽化対策は喫緊の課題で、2014年度からの点検による修繕など国交省管理施設は、23年度末までに全て措置に着手。だが、地方公共団体管理道路では早期の措置が必要な道路構造物が数多く残存していると指摘し「橋梁は早期に修繕が必要な約4万基に対して措置が完了していない。従来の予算水準では、予防保全への移行までに約20年が必要となる」と見通す。今後も、国による財政面や技術的な支援が必要だとし「新技術の積極的な活用等で老朽化対策を着実に進め、事後保全型から予防保全型に転換を図りたい」と語った。

 注目の自動物流道路は、将来的に東京―大阪間の長距離幹線構想を念頭に、まずは社会実験などを通じて30年代半ばまでに第一期区間の運用開始を目指す。産官学が技術、知恵を出し合い、一丸となって進めていくことが必要不可欠との認識で「スピード感を持って検討を進めていきたい」と語った。

 道路分野のカーボンニュートラルについては「年内にカーボンニュートラル推進戦略を最終的にとりまとめる予定。今後の政府計画等に対し道路局施策を反映させ、他分野との共創や連携を通じた道路分野でのカーボンニュートラル政策を推進していきたい」と意欲を見せた。

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【略歴】やまもと・たくみ。1991年京都大学大学院工学研究科修了、建設省採用。福岡県県土整備部長、国交省道路局高速道路課長、道路局企画課長、東北地方整備局長を経て7月から現職。1966年12月12日生まれ。奈良県出身。

山本局長

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