小山市は15日、間々田地区新設保育所整備事業(間々田791-1)を市議会に説明した。近く3工種分離となる建築、電気設備、機械設備の条件付き一般競争入札を公告し、市議会12月定例会に工事請負契約締結議案を提出する。建物は木造(一部S造)平屋建て延べ床面積1479・90平方m。大屋根を巨大な竜頭蛇体に見立て、間々田のじゃがまいたを意識したデザインを採用。2025年1月に着工し26年1月の完成、4月の開所を目指す。
築40年以上を経て老朽化と耐震性に課題がある間々田北、網戸の両保育所を統合再編。両保育所から半径2㎞の6436・27平方mに移転新築する。西側の園舎敷地が4832・13平方m、東側の駐車場が1604・14平方m。定員は150人。
23年11月の設計プロポーザルの結果、基本・実施設計はシオダ+DOG設計JVが手掛けた。テーマは伸びやかな「じゃがまいたで育む保育所」。地域性を捉えた内容が高評価を獲得。実施設計がほぼ完了し、12月から新保育所の名称を公募する。
建物は緩やかな曲線を描く諸室配置で、南側から採光。保育室は部屋の仕切りが調節可能なフレキシブルな造り。保育室と屋外デッキ間のランチルームは、食事以外にも外遊びとの中間的な空間に利用できる。一時預かり室、子育て支援室、医務室は専用室。
思川上流の水源林となる日光、鹿沼産材を積極的に活用。木の温もりが感じられ、1日の大半を園舎で過ごす幼児が快適な環境となるよう輻射式の室内冷房機器を導入。再エネ活用による1次エネルギー消費量を50%以上削減し、ZEB Readyを達成する。
園庭は緑豊かな植栽のほか地下水利用のせせらぎを配し、幼児たちがネイチャーポジティブや生物多様性保全に向けた環境教育を学べるように演出。猛暑対策ではヨシズを用い、渡良瀬遊水地ヨシズ産業を伝える。外周軒先は平屋建て住宅程度の高さに抑える。
全体が湾曲した平面で見通しが良く、保育士がどこからでも幼児の姿を把握。職員室を中心部に配し、自由に遊べて保育しやすい環境を構築。お迎え状況に合わせて使用する保育室を狭め、管理人員と空調や電気設備のランニングコストを削減する。
内側と外側の大屋根が支え合う2枚屋根の放射状架構を組む。2枚屋根の形状を生かし、深い軒で日射を制限。高窓からの採光や自然通風を上手に取り入れる。外壁や屋根、軒裏は高耐久性・耐候性の素材を選択し深い軒で雨や直射日光による劣化を防ぐ。
天井や床は吸音木質板やクッション性のある木質フローリングを採用。部材の最大長は6mとし、重さが軽い木造建物は杭や地盤改良がいらずコストを軽減。心材を柱や梁に用い、小断面部材は間柱や垂木、筋交い、家具に加工し1本の丸太を全部使用する。
県木材業協同組合連合会(東泉清寿理事長)は5月、市と公共建築物の「木材利用促進協定」を締結。新保育所建設の際は流通状況や部材の適切な使用方法の情報を共有し、材料を安定供給。早期の納入、プレカット精度の向上、工程管理や品質向上に協力する。
新設保育所の施工期間中は間々田北、網戸の両保育園の統合仮設園舎をリース。23年度補正予算で債務負担行為2億5160万円を設定後、3月に契約済み。整備地は間々田2431-3で、プレハブ造平屋建て延べ620平方m。11月には供用を開始する。
現間々田北保育所は敷地2250平方m、S造平屋建て延べ568平方m(定員70人)、築45年が経過。現網戸保育所は敷地2077平方m、S造平屋建て延べ462平方m(定員60人)、築48年が経過。統合後の定員は余裕を持たせて設定した。