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【長期手形】当面60日超も取り扱い/下請債権保全支援事業の対応

2024/10/17 本社配信


 国土交通省は下請債権保全支援事業で、11月1日以降も手形期間が60日を超えるものも、従前どおり取り扱いを継続することを建設業団体へ通知した。建設業振興基金が取り扱う建設業債権保全基金が実施している事業で、現在は120日を超えない期間の手形を保証・買取の対象としている。

 長期手形が下請事業者の資金繰りなどの負担になっていることを踏まえ11月1日からは、下請代金支払遅延等防止法で60日を超える手形を割引困難な手形に該当するおそれがあるものとして指導対象となる。建設業法でも同様に60日を超える手形が割引困難な手形として違反のおそれがあるとされている。

 同事業での手形の取り扱いは、現時点でなお相当程度が手形期間60日を超えて設定されていると見込まれること。さらに、下請企業の債権を保全することで連鎖倒産を防ぎ、下請建設企業等の経営と雇用の安定を図るものであることから、取り扱いを継続することになった。

 ただし、手形期間の短縮はサプライチェーン全体で取り組んでいく必要もあり、11月1日以降に交付された手形期間の設定状況を踏まえて、適切なタイミングで期間を60日以内にする予定としている。判断は元請・下請調査の結果などを材料に行うことになる。

 同事業は、資材業者などを含めた下請建設企業等が、元請けから債権回収が困難となる場合に、債権の支払いをファクタリング会社が保証する仕組み。現在は2025年3月までが新規申込受付期限とされている。

 仕組みは、建設業債権保全基金からが元請の倒産等で保証債務が履行された際に7社あるファクタリング会社に対して一定の範囲で損失を補償。また、下請企業等はファクタリング会社に支払う保証料の助成を行う。また、債権額が確定している個別債権については買取を実施。期日前の資金化により下請企業等の資金繰りを支援している。

 なお、保証した債権の額は21年度232億円、22年度250億円、23年度200億円で、毎年2000件程度扱っている。

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