南那須地区広域行政事務組合(組合長・川俣純子那須烏山市長)は、那須南病院整備基本構想素案を示した。素案では新病院の病床規模を120床程度とし、現在地(那須烏山市中央3丁目)を新病院の建設地として選定。概算事業費は建築単価の上昇を見込み81~99億円程度(解体含む)を想定。整備スケジュールは25年度に基本計画、26年度に基本設計、27年度に実施設計を進め28年度から病院本体の建設工事に着手。第1期工事を28~29年度、第2期工事を30~31年度に実施。32年度中の開院を目標に取り組む。
新病院の整備は現敷地内南側に一般病棟や療養病棟が入る南棟を第1期として建設。管理部門などが入る北棟を第2期として建設する構想。
これまでの検討では南棟はRC造地下1階地上3階建て延べ床約6500平方m、北棟はRC造4階建て約4000平方mを想定。主に患者の利用は南棟と北棟に集約する考え。
病院の解体は第2期本体工事が始まる30年度前半と最終の32年度に分け、造成や外構工事31~32年度に実施。保育所の建設工事と解体工事を32年度に実施することを想定。スケジュールは発注方式などによって変更の可能性があるとした。
素案は21日の第4回那須南病院整備基本構想検討委員会(委員長・松村正巳自治医科大学教授)で事務局が提示した。事務局は今後、委員の意見を踏まえながら素案をとりまとめていく。次回の委員会は1月20日に開催。基本構想は今年度に策定する予定。
素案では新病院の診療科は11科(内科、消化器内科、眼科、泌尿器科、循環器内科、外科、耳鼻咽喉科、小児科、脳神経内科、整形外科、皮膚科)の維持を原則とし、必要に応じ柔軟に対応する。
病棟構成は120床程度の規模を踏まえ、急性期病床、地域包括ケア病床、療養病床を有するケアミックスとし、詳細は基本計画で検討。整備手法は従来方式、DB(基本設計先行型または一括型)、ECIなどがあるとし、基本計画で検討していく。
施設整備の基本的な考え方は①患者・家族にやさしい②機能的で働きやすい③環境に配慮④経済性を考慮⑤災害に強い⑥将来のニーズの変化に柔軟に対応。
あらゆる人に使いやすくて分かりやすいユニバーサルデザインやバリアフリーに対応した、コンパクトでフレキシブルな施設。安全性や耐震性に加え、新興感染症に効率的な対応ができるように感染症患者と一般患者の動線分離が可能な構造とする。
現在の那須南病院は病床数150床。1990年3月に完成した既存棟50床(療養病床)、96年3月に竣工した増築棟100床(一般病床)で構成し、敷地面積は病院側1万1882・6平方mと道路南側駐車場1655・6平方m。
延べ床面積は合計9335平方m。既存棟はRC造2階建て建築面積1797・1平方m、延べ床面積2795・1平方m。増築棟はRC造5階地下1階建て建築面積1753・2平方m、延べ床面積6539・9平方m。このほか90年建設で元医師住宅を利用した院内保育所(木造平屋建て73・7平方m)、病児保育所(同)がある。
既存棟は築34年、増築棟は28年を経過。施設設備の老朽化、狭あい化が課題となっており、人工透析の増床、リハビリテーション機能の拡充といった医療需要への対応が必要。地下機械室(エネルギーセンター)の地上化など災害時の機能強化も求められている。
組合では自治体病院共済会に業務を委託し、20年3月にまとめた那須南病院大規模改修基礎調査等報告書を踏まえ、那須烏山市、那珂川町職員らで構成する整備検討委員会で大規模改修、現地建て替え、移転建て替えの3案を検討。
大規模改修は動線の複雑化や将来の病床転換への柔軟な対応力に、移転は用地確保に課題があるなどの理由から22年12月に整備の方向性として現地建て替えを選択した。今年度は現地建て替えの課題や病床数などについて検証を進めてきた。