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新潟県観光文化スポーツ部

県政記念館の補修工事現場を特別公開

2024/10/23 新潟建設新聞

 県観光文化スポーツ部文化課は20日、県政記念館(旧県議会議事堂)で進められている耐震改修・保存修理工事の現場を特別公開した。設計・監理を担当する公益財団法人文化財建造物保存技術協会の技術者が建物の状況や補修工事内容を説明し、補修工事で見えてきた築140年が経過した建物の様子や当時の建築技術などを解説した。

 工事は、2022年12月から全館休館して進められており、傷んだ箇所の保存修繕を行うほか、壁面や地盤などの耐震補強、設備等の更新を計画する。23年10月末に工事着手し、現在は、地盤改良に伴い床板が剥がされた状態で、建物を保護する仮設の屋根、足場となる素屋根の設置工事が進められている。地盤改良他工事は廣瀬、素屋根設置他工事については田中組が、それぞれ担当する。

 素屋根の設置後、部分的に建物を解体し、補修・補強方法や今後の活用方針などを検討しながら工事が進められる。また、補修工事では、可能な限り当時の部材、技法を残すため、取り外した部材を調査、記録し、補修後には元の位置に戻せるよう配慮しながら作業を進めている。今後の耐震補強についても極力、建物に手を入れずに行える工法を検討する方針だ。

 新潟県政記念館は1883年(明治16年)に新潟県会議事堂として建設。西洋の建築技術や様式を取り入れた木造2階一部3階建ての建物で、屋上に八角塔屋をのせた中央棟と左右対称に両翼棟を配置。内部には議場をはじめ、知事室、議長室、委員室など14の部屋がある。明治の府県会開設期における現存唯一の議事堂の遺構として国の重要文化財に指定されている。

 補修補強事業は文化庁の補助事業として行われ、2022年度予算では22~27年度まで6カ年の継続費12億3130万9000円を設定。年割額は、▽22年度=1718万1000円▽23年度=3億1096万5000円▽24年度=3億161万5000円▽25年度=3億387万1000円▽26年度=1億5871万5000円▽27年度=1億3896万2000円―となる。

【写真=床板が外された議場、鉄柱のズレや調整板は当時のもの、下地の腐食や壁面にクラックがある】

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