7月に就任した国土交通省の塩見英之総合政策局長は「総合政策局は、幅広い国土交通行政の総合調整をやるのが仕事。国民生活の質の向上と経済成長、そこに向けて国交省の総合力が発揮できるよう、まず省内の各局とよく調整をしていきたい。また、省外と関係する部分もあり、緊密な相談と調整をすることも大事な仕事だ」と取り組む方向を示した。
省内の政策がより良いものにするよう各局に働きかけ、施策を分厚いものにしていくため「横串で見ている立場だから気づくこともある。横並びも見ながら、より高い水準を目指して調整に取り組む」と。また、国交省の政策が政府全体の政策の中で「より重要なものに位置付けられるような働きかけ、逆に政府全体の方針が、各局の施策にきちんと反映されるよう上手く取り次ぐこと」が大事だと説明した。
国土強靱化は、これまでの整備進捗と効果を示すとともに、業界団体などと共通の見通しが持てる点が良かったと振り返る。実施中期計画も「期間、規模など内容が明らかになって、それを関係事業者も共有する。企業側も体制や人員を整備しよう、こういう方針で事業を進めていこうと考えてもらい、きちんと見通しを持って事業を執行できるような体制を作ることが大事」と見解を示した。策定完了前に体制など業界側の意見を聞く必要を指摘している。
群マネについては役所の人員が減っても質を落とさずに維持管理などを行う手法として検討が進められている。11モデル地域の成果が正解なのか、改善が必要なのかといった議論を行い「成案を全国に広げるプロセスを踏んでいきたい」と決意。
議論が進められている社会資本整備重点計画は、ポイントとして「新しい政権や経済情勢に合わせて重点を置くところを見直し、検討していくべき。一番大事な姿勢は、活力ある地域、持続可能な地域をどう作っていくか」にあるとした。また「インフラの大きな柱と並んでインフラ整備をやる上で不可欠な建設業者や自治体の職員の持続可能性も大きな柱に位置付けたい」との考え。
グリーン社会の実現に向け国交省は脱炭素化、ネイチャーポジティブや自然共生、循環経済と言われるサーキュラーエコノミーの3つが「大きな政策課題になっている」と指摘し「国交省の果たすべき役割は非常に大きい。環境政策をリードできるんだという強い思いで検討をしっかり進めていきたい」という。
職場環境について「どんなに苦しい仕事でも、やりがいとか働きがい、仲間との一体感、そういうものがある。達成感が全然違う。そういう機会と同時にいい職場環境、人間関係を作ることが大事だ」と若手にもエールを送る。
【略歴】しおみ・ひでゆき
1990年早稲田大学政治経済学部卒、建設省採用。国土交通省水管理・国土保全局次長、大臣官房審議官(住宅局担当)、住宅局長、不動産・建設経済局長を経て7月から現職。1966年8月17日生まれ。兵庫県出身。