県交通政策課は日光市の国道121号バイパス(川治防災)の整備で、現道と連絡するアクセス路約190mの予備設計をまとめた。道路構造はバイパス側から県営川治第1発電所導水路を渡河する橋長90mのPC4径間連続ラーメン中空床版桁と現道付近の渓谷を橋長45mのPC単純箱桁とを延長30mの逆T式擁壁でつなぐ。現道との接続部では延長25mの軽量盛土工の施工を計画。9月補正では1000万円を予算化し中央部擁壁工の予備設計を発注する。アクセス路は国土交通省宇都宮国道事務所のバイパスルートの調査設計を踏まえ、詳細設計の委託時期を検討する。
アクセス路は1級河川鬼怒川左岸側で、現道とバイパスが最も近接する箇所に新設。宇都宮国道事務所が直轄権限代行事業で、調査設計中の鬼怒川を渡河する橋梁300mと3㎞の長大トンネル南側坑口間に計画。概算延長は190m。
鬼怒川左岸は国有林保安林区域外で、国はアクセス路に沿った鬼怒川左岸側に工事用道路を計画。トンネルや鬼怒川橋梁の詳細設計や法的手続きを踏まえ工事に着手する見通し。
アクセス路の幅員は7mの2車線道路で計画。川治温泉街とバイパスを連絡する。現道側は温泉街から北進し、がけ地に沿ったヘアピンカーブ。バイパスとの縦断勾配を緩和するため2カ所の谷地に橋梁を新設。橋梁間を擁壁でつなぐ構造とした。道路予備設計は大日本ダイヤコンサルタントが担当。
擁壁の延長は道路両側で延べ約50mを試算。予備設計でタイプを検討するほか、施工に伴う用地取得範囲を固める。
121号川治防災は狭あいな上、2015年関東東北豪雨でがけ崩れが発生するなど甚大な被害を受け川治温泉街が一時孤立した。県は、落石や土砂崩落が多発し通行の危険性が指摘されてきた日光市独鈷沢~藤原間のうち、川治温泉を回避する7・4㎞を優先整備区間に設定。
このうち北側の3・4㎞は、野岩鉄道葛老山トンネル、主要地方道川俣温泉川治線葛老トンネル、五十里ダムと川治ダムの貯水池を結ぶ導水トンネルの3トンネルが近接。湧水の影響も想定される施工難度が高いため、19年4月に宇都宮国道事務所が直轄権限代行事業として新規事業化した。
県は7・4㎞の南側4㎞を起点側の南から第1と第2区間に分け調査を実施。南側から①第1区間の現道課題区間を別線バイパスで通過②三ツ岩トンネルを現道活用③第2区間の現道課題区間は並行道路活用で回避―に整理。橋梁やトンネルなど構造物の予備設計や坑口付近のボーリング調査などを実施している。