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栃木インター産業団地 総額8000億円を投資、データセンター2棟を建設

2024/10/31 栃木建設新聞

 栃木市が第1期分譲を開始した栃木インター産業団地(吹上町、野中町、先行分譲14・2ha)にデータセンター(DC)整備企業が進出を表明し、A~B街区10・5haを取得する見通しとなった。DC整備2棟を計画し、初期投資額は2500億円(用地費を含まず)。1棟目は2028年度、2棟目は31年度の操業開始を目指す。進出企業は周辺街区に区域を拡張し、総額8000億円を投じる予定。平成以降の投資額としては県内最大規模。内定企業名は12月に発表する。25年1月に仮契約、3月に本契約締結の運び。

 産業団地は東北自動車道栃木ICから北西方向500mの23・1ha。東北道と十字路交差する主要地方道栃木粕尾線(都市計画道路3・3・201号新栃木尻内線)の西側沿線の将棋の駒型用地を開発。事業期間は21~25年度の5カ年間。

 造成工事が前倒しで進んだA~C、H街区14・2haの第1期分譲開始概要を3月に公表。1平方m当たりの平均分譲単価は2万4400円に設定。うちA~C街区13haの募集はDCや半導体関連分野に限定。H街区1・2haは隣接企業が拡張を希望している。

 経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略」に該当する事業者については、分譲価格を5%引きする優遇措置を導入した。9月3~13日にかけ、進出企業を募集。進出表明企業は、今月23日の「立地企業選定委員会」で内定審査を通過している。

 内定企業が最初に取得するのはA街区4・5haとB街区6ha。最終的にはC街区2・5haを取得の見通し。2棟のDC稼働後は年間約20億円の固定資産税と都市計画税の増収を試算。安定的で恒常的な自主財源の確保と市財政の健全化につながる。

 市は進出企業の投資額や納税額に見合った企業立地奨励金の交付限度額を検証した結果、現行の上限額3億円の拡充が不可欠と判断。25年4月から限度額の上限を10億円に引き上げる。他の半導体・デジタル産業関連事業者誘致のインセンティブとする。

 立地奨励金の改正案は「地域未来投資促進法で定める重点促進区域」を対象に、固定資産税及び都市計画税相当額を交付。交付期間は5年間。交付要件は特別高圧電力の受電施設は建築確認申請後5年以内の操業開始。市内在住者の新規雇用5人以上。

 第1期分譲街区は区域南側を東北道が東西に横断し、北関東道の結節点である栃木ICに直結。東側は栃木粕尾線が南北に縦断。セミトレーラーが難なく往来できる。東京から鉄道網、道路網とも約1時間で到達。相次ぐ水害の際に計画地の被害は皆無だった。

 区画道路は幅員13mの両側歩道付き。H街区を囲む調整池は3面張りコンクリート製。貯留量は2万立方m、放流先は1級河川赤津川。電力高圧線は小山変電所を経由し西から北へ、佐野変電所から北上し合流。近くに宮町変電所があり、100MWの供給が可能。

 市は「稼働後は月1000人以上が往来し、市内への宿泊や飲食、観光への経済波及効果が大きい。生成AI(人工知能)事業は最先端の成長分野であり、給与所得が高い。施設内は清潔であり、東京圏に流出した若い女性のUIターンにつながるはず」と話す。

 国内はデジタルサービスの拡大に伴うデータ通信量が急増。政府は大都市に集中する民間のデータセンター拠点を地方に分散し、災害時のデータ保管の安全性や通信の継続性を確保する方針。今後数年間でデジタル処理量は30倍以上に増大すると推計される。

 市はIT立国基盤を支えるNPO法人「日本データセンター協会」に入会し、データセンター地方拠点への誘致を活発化。国は半導体とデジタルインフラ、デジタル産業を「デジタル産業基盤」に位置付け、通常の産業政策を超えた特例扱いの措置を講じる姿勢。

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