小山市は5日、新市民病院別館建設事業(神鳥谷2251-1)を市議会に説明した。2024年度は設計施工一括方式のプロポーザルで事業者を選定。25年夏頃の設計完了後に着工し、26年夏から秋にかけてのオープンを目指す。別館はS造2階建て延べ床面積2000平方m。第2駐車場に建設し、西側の本館棟に接続する。概算総工費は17億円を見込んでいる。
概算事業費は24億円と試算。24~25年度の設計費は5000万円、25~26年度の建設費は17億円、26年度の医療機器費が6億5000万円。歯科口腔外科機器、手術室機器、手術支援ロボット各一式に加え、各種システムを拡充する。
新市民病院は2016年、若木町から現在地へ移転新築。13年に地方独立行政法人に経営形態を変更し、市民病院から改称した。赤字経営脱却に主眼を置き、必要最小限の諸室構成で経営してきた。診療科の新設、職員数や手術件数の増加で諸室が不足している。
独法化後の11年間で手術数は2・7倍(3282件)、救急車搬送台数は1・8倍、医師数は2・2倍、総職員数は1・9倍に増加。本格的な設備投資が不可避と判断し、別館建設事業基本計画を策定。別館には大型手術室と小型手術室各1部屋を新設する。
本館の手術室は中規模の5部屋構成。汎用的には有効ながら高度化や簡素化手術への対応が困難な状況。新館の大型手術室は手術支援ロボットを備え、ハイブリッド手術に対応。小型手術室は主に外来日帰り手術に対応し、機能の充実に努める。
別館の想定主要諸室は手術室2部屋のほか、外来診察室・処置室5(日帰り手術と連携する診療科)、歯科口腔外科用診察室(4ブース、X線撮影室)、多目的室1、MRI増設スペース1、救急ワークステーションスペース1、大ホール1、倉庫・スタッフルーム。
小山医療圏のうち、歯科手術が可能なのは自治医大付属病院のみ。空きがない場合は茨城県の歯科に通わざるを得ない。高齢化に伴う周術期口腔管理の必要性が高まっており、手術後の合併症予防の観点から地域完結型医療実現へ歯科口腔外科を新設する。
救急ワークステーション(仮称)を設置し、市消防本部の救急車と救急救命士を含む救急隊員が待機。救急隊員は医師や看護師の指導を受けながら救急事案が発生した際に出動する。病院と消防が連携し救急隊の質と救命率の向上、後遺症の軽減につなげる。
首都直下型地震をはじめ大規模災害に備え、地域災害拠点病院の役目を果たす大ホールを設置。患者トリアージエリア、災害対策本部、災害医療チーム(DMAT)拠点に活用する。感染拡大時の診療維持に、発熱者用隔離診察室に転用可能な多目的室を整備する。
自動販売機設置のほか、屋外キッチンカーを新館に横付けできるよう配慮。平時は大ホールを休憩室に活用し、福利厚生機能を強化する。別館は障害者駐車場の庇へ接続する予定だけに、屋根付きの障害者駐車場は南側の第1駐車場に移設する。