国土交通省は労務費基準の検討で、計算方法などの暫定方針を固めた。具体化へは職種別意見交換により基準の実効性確保と素案の作成へ検討を進める。まず「鉄筋」「型枠」について検討を開始するとともに、「住宅分野」に関する関係職種への基準適用へ課題整理を開始する。実効性の確保についても「各契約段階での適正水準の労務費確保」「適正水準の労務費を下請に、賃金を技能者にまで行き渡らせる」ため取り組みの方向性案を示した。
6日に開催した中央建設業審議会のワーキンググループで明らかにした。
計算方法の暫定方針は、労務単価(円/人日(8時間))×歩掛(人日/単位あたり施工量)の計算式によって単位施工量あたりの労務費として示すことを基本とした。労務単価は、公共工事設計労務単価を適用する。歩掛は国交省直轄工事で用いる土木工事標準歩掛、公共建築工事における歩掛を活用。戸建住宅等は、住宅関係の団体等と意見交換を行い、対応方針を検討する。
作成単位については、細分化は最小限にとどめる基本方針を踏まえ、土木と建築を区分するか、工種をどの程度区分するかなどは、職種別の意見交換で具体的な細分化の程度を議論する。技能者の経験・技能に応じた賃金支払いは、特殊技能が必要な工種について別カテゴリーで基準を作成することを検討する。
改定は公共工事設計労務単価、標準歩掛の改定と連動した更新とするため基本的に年1回を基本に引き続き検討する。
職種別意見交換で鉄筋、型枠を先行させるのは、土木・建築の双方に幅広く関係する職種であり、労務単価や歩掛といった検討の材料が比較的そろっていること、職種に対応した業界団体の検討体制を踏まえたもの。一方、住宅分野はワーキングでの意見や、一人親方が多い、発注者が個人等の特殊性があることを踏まえたもの。関係職種への基準適用にあたっての課題整理を開始する。その他の職種も検討準備が整い次第、順次開始する。意見交換での知見、結果はその他の職種での議論に生かす。
意見交換は、職種の団体と元請団体、国交省で行う。ワーキングで出された委員からの意見、指摘を含めて検討していく。