国土交通省は22日、都市の個性の確立と質や価値の向上に関する懇談会(座長・野澤千絵明治大学政治経済学部教授)を設置し、中長期的な視点、地域文化を育む観点から新しい時代の都市再生のあり方の検討を開始した。2025年4月ごろまで議論を重ね、必要に応じて社会資本整備審議会、法改正が必要な事項は法律の改正も視野に入れながら議論を進める。
これまでの都市再生は、大都市での国際競争力の強化、地方都市での「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりをはじめ、人々の豊かな暮らしや経済の活性化を実現するために、都市再生特別措置法の各種制度で官民が連携した手法で取り組んできた。
しかし、人口減少の本格化、建築費の高騰、SDGsへの貢献など、都市を巡る状況が大きく変化。これからの都市は、短期的な収益性や経済合理性のみならず、中長期的な視点や地域文化を育む観点からも、地域資源を活用した「個性の確立」、暮らす人・働く人・訪れる人を惹きつける「質や価値の向上」を図ることが重要となっている。
冒頭、あいさつに立った内田欽也都市局長は「懇談会の名称に都市の質という言葉を使った。明確な答えを持っているわけではないが、各自治体が自分の町の個性が何かをしっかり自覚し、その中でどうやったら質を高められるかという意識を持ってもらえれば、より良いまちづくりにつながっていくのではないか。一定程度の方向性を示していきたい」との考えを示した。