埼玉県土木施工管理技士会(松本泰典会長)は15日、蓮田市総合文化会館ハストピアで、「土木の日記念講演会」を開催した。参加した400人を超える会員らが、建設業における最近の状況や異常気象・地球温暖化について認識を深めた。
冒頭のあいさつで松本会長は「われわれは、技術力や品質の向上、そして社会的地位の向上と工事の安全に努め活動することが大切だ」と、会の目的や理念を示し、有意義な講演となるよう期待。来賓には県杉戸県土整備事務所の荒井正之所長、埼玉県建設業協会の小川貢三郎会長(磯田和彦専務理事出席)、全国土木施工管理技士会連合会の小林正典顧問らが出席して祝辞を贈った。その中で荒井所長は「施工に携わる技術者が、新しい技術や知識を積極的に取り入れ、次世代の土木技術者を育成することが不可欠であり、貴技士会の取り組みは大変重要な活動」とたたえた。
2部構成となった講演会では、最初に「建設業を取り巻く最近の話題」と題して、関東地方整備局企画部技術調整管理官の武藤健治氏が登壇。局の予算や主要事業を説明した後、建設業界を取り巻く環境の変化では、同局が進める生産性向上や働き方改革。また能登半島地震をはじめ災害時に活躍する建設業界の活躍を示し、「これからの建設業界は、かつての3Kから、地域の守り手として災害時には欠かせない存在になった」と説明。そのためにも「働き方改革により新4K(給料・休暇・希望・かっこいい)の実現が大至急必要」と訴えた。さらに、土木工事電子書類スリム化ガイドver3.0の変更点、本年度の重点安全対策、建設現場のオートメーション化実現に向けたi-Construction2.0、関東DX・i-Construction人材育成センターについても説明した。
続いて、熊谷地方気象台気象情報官の入福敏行氏が「異常気象と地球温暖化」について講演。異常気象と地球温暖化の状況を説明した後、熱中症への備え、台風(令和元年東日本台風ほか)の被害状況、急な強い雨・落雷・竜巻が発生する積乱雲による災害、そして気象情報を利用して身を守る方法や防災気象情報の入手方法を伝えた。
閉会時には、県土木施工管理技士会技術顧問・副会長の山口勝氏があいさつに立った。山口技術顧問は、参加した会員や講師らに感謝の意を伝えるとともに「武藤様からは、現場を担当する皆さまにとって、大変有益なお話をしていただいた。入福様のお話からは、地球温暖化問題の深刻さと対策の重要性を痛感した。当技士会は今後も、進化するi-Constructionや建設DXの対応、会員皆さまの要望などを参考にして各種事業を実施していく」と述べ、支援と協力を呼び掛けた。