建設業労働災害防止協会長野県支部(木下修支部長)は27日、『仲間の声で危険を防ごう、未来へつなぐ職場の安全』をスローガンに、第59回長野県建設業労働災害防止大会を開催した。県内各地から会員が参集し、三浦栄一郎長野労働局長や新田恭士県建設部長など多数の来賓と共に、死亡災害の根絶と歳末ゼロ災運動の成功を誓った。
今年10月末現在における県内建設業の労働災害死傷者数(休業4日以上、速報値)は216人で、前年同期比2人減(0.9%減)とほぼ横ばい。しかし、死者は6人で前年同期(1人)から大幅に増加しており、看過できない状況にある。
木下支部長はあいさつで「死亡災害の原因をみると、墜落1人、転倒1人、残りの4人は現場以外の交通事故によるもの。出発が遅れたのか、体調がすぐれなかったのか、理由は分からないが、いくら現場で対策を実施したとしても、心に余裕がなければ労災を抑止することはできない。今年度から本部においてメンタルヘルス対策に関する検討委員会を立ち上げ、現在は中小建設事業者の現状と課題についてヒアリングを行っている。現場はもちろん、現場の行き帰りにおいても、心身共に健康な状態で作業に臨めるようしてほしい」と呼び掛けた。
また、長野労働局の三浦局長は祝辞で「自然災害は発生を防止することができない。しかし、労働災害は発生自体を防ぐことができる。言うは易しと言われるかもしれないが、可能であるならば目指さなければいけない。長野労働局もしっかりとお手伝いをする。事業主、働く皆さん、全員が協力して労働災害の防止を促進していこう」と鼓舞。
県の新田建設部長は「県では協会と共に現場パトロールによる安全対策の確認、安全管理に関する研修の実施などを行ってきた。また、労働環境も労災の大きな要因となるため、年間を通じた工事発注による施工時期の平準化に加え、週休2日工事やICT活用工事等を推進し、ゆとりある環境づくりに取り組んでいる。これから降雪期に入り現場管理は一層厳しさを増す。歳末に向け、協会と共に歳末ゼロ災運動に取り組み、労働災害のない現場を目指す」と述べた。また「国において、来年度で終了する国土強靱化5か年加速化対策後の新たな取り組みについて事業規模等を示す実施中期計画の策定が進んでいる。県土強靱化に必要な予算をしっかりと確保できるよう、知事を先頭に関係各省へ要望を行っている」と紹介した。
大会では、安全管理への貢献の功績をたたえる表彰式も挙行。木下支部長が受賞者へ表彰状と記念品を手渡した。受賞者を代表して謝辞に立った大河建設(木曽町)の河政勲代表は「受賞は会員の皆さま、関係機関の皆さま方のご指導ご鞭撻のたまもの。改めて、労働災害をなくすための決意、労働者が示す労働災害防止への自覚を、この場を借りて表明する。今後とも変わらぬご指導ご支援をお願いします」と決意を述べた。
また講演では、長野労働局の古畑善美健康安全課長が労災防止対策、市川篤志・前内閣府地方創生推進事務局長は地方創生と国づくりについて話した。