政府は22日に閣議決定した総合経済対策での賃上げのための取り組みをまとめた。価格転嫁等の取引適正化の推進、省力化・デジタル化投資の推進による生産性向上、人材・経営の基盤整備を3本柱として法改正検討や支援を展開する。
価格転嫁等の取引適正化の推進には、下請法に関して、法改正の検討と執行強化を盛り込んだ。さらに、労務費指針の順守状況実態の調査・改善措置を年末までに完了させる。
省力化・デジタル化投資の推進による生産性向上は支援策が中心。中小企業生産性革命推進事業(設備投資、IT導入、販路開拓、円滑な事業承継・引継ぎ等の支援)のさらなる充実を図る。カタログ式に加え、オーダーメイド型の省力化投資を支援。中小企業のソフトウェア導入・会計事務IT化支援、中堅・中小企業に対する拠点新設・大型設備投資を支援する。業務改善助成金・賃上げ税制を通じた賃上げ・生産性向上支援や、物流・交通、建設、観光、保育、医療・介護・障害福祉等の分野での生産性向上支援等を展開する。
人材・経営の基盤整備では、三位一体の労働市場改革(リ・スキリング、ジョブ型人事、労働移動円滑化)、事業承継・M&Aの支援等を進める。
26日に開催した政労使の意見交換で示したもの。石破茂首相は、25年の春闘で労働者の賃金水準を引き上げるベースアップを念頭に「33年ぶりの高水準の賃上げとなった今年の勢いで、大幅な賃上げ」へ協力を要請。さらに、賃上げの流れが、雇用の7割を占める中小企業、地方に行き渡ることが重要だとし、「賃上げ環境整備へ具体策を盛り込んだ総合経済対策を決定した。その裏付けとなる補正予算の早期成立を図る」と話した。