政府の2024年度補正予算案が29日、閣議決定した。新たな経済対策の裏付けとなるもので国土交通省関係の予算規模は、国費総額2兆2478億円で23年度補正の1・09倍とした。公共事業費は1兆9126億円で、うち最も多いのは防災・減災、国土強靱化の1兆1382億円。5か年加速化対策、緊急対応、緊急防災を含めた額。ほか、自然災害からの復旧・復興に3918億円、地方創生2・0の展開に1587億円などを配分する。
国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策に掲げた3本柱のうち注目は「国民の安心・安全の確保」における防災・減災および国土強靱化の推進。公共事業費は5か年加速化対策分のほかに、23年度と同じく緊急対応分を設定し2467億円。さらに緊急防災分2183億円を計上している。非公共は581億円。
主な強靱化関連事業の公共分は▽流域治水等の推進=2773億8900万円▽防災・減災まちづくり、防災公園の機能確保等=54億4800万円▽道路ネットワークの機能強化対策=1973億7500万円▽道路インフラの局所的な防災・減災対策等=449億5000万円▽交通ネットワークの対災害性強化=667億4700万円▽河川・ダム、道路、都市公園港湾等の需要インフラ老朽化対策=1514億4600万円▽インフラ・防災分野のデジタル技術活用と技術開発=168億5900万円▽災害対応体制の強化=94億7000万円▽地域における防災・減災、国土強靱化の推進(防災・安全交付金等)=3620億4200万円―などを盛り込んだ。
自然災害からの復旧・復興には、河川、海岸、砂防、道路、港湾、上下水道、公営住宅等の施設災害復旧等へ3703億4000万円、能登半島地震からの復興のための住宅整備へ215億900万円などを投じる。
地方創生2・0に関しては、道路ネットワークの整備等856億3500万円、道路交通環境の整備等246億3300万円、港湾機能強化143億900万円、コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくり、都市公園整備、水辺空間創出へ172億6300万円、地方都市等再生28億7400万円、スモールコンセッション等11億7600万円などが盛り込まれた。
賃上げ環境整備として、建設産業などの生産性向上に向け市場環境整備等へ非公共だが9億2000万円。物流関係でも物流拠点整備、自動化・機械化などの効率化などへ80億3000万円と財政投融資290億円を確保した。
◎強靱化で別枠
23年度補正で設定した緊急対応分が今回も設定された。物価高騰や賃金情報を踏まえた強靱化を進めるために緊急に必要な経費として計上している。もう一つの緊急防災分は新たに設定したもので、能登半島地震などの教訓を踏まえ、緊急的に対処すべき経費へ活用するものとしている。
◎債務負担行為も設定
事業加速円滑化国債は23年度より大きい事業費1332億円を設定。防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に基づく大規模事業等について、補正予算からスタートする国債を設定することにより、計画的かつ円滑な事業執行を促進する。
ゼロ国債は、積雪寒冷地域などの実情に応じた公共事業の発注措置で効率的な執行を促進するため23年度と同額の事業費777億円を設定する。