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山梨県身延町

国道300号 2~3期の着手求める/物価高騰で発注に影響も/望月幹也身延町長インタビュー

2024/11/30 山梨建設新聞

 今年の10月24日に、身延町の望月幹也町長が3期目の町政をスタートさせた。町内を走る国道300号では県による第1期のバイパス整備を終え、続く2期、3期の着手を早期に求める。国が進める富士川の築堤工事では、町役場本庁舎移転に向けた動きが今後注目される。建設に関連する課題として、町政の土木や建築事業を支える技術職員の不足が懸念されている。弊紙では3期目の町政を舵取りする望月町長に、町の建設関係に係る今後の展望や方向性などを聞いた。

―町が抱える建設関係の課題は

 望月 技術系の町職員が不足しており、確保も難しい。他の自治体も同様の声を聞く。応募者も少なく、試験に合格しても国や県、市と併願しているため、町への就職者が少ないのが現状。公共事業を受注する企業も、技術職員を含めて人員不足となっている。

 このほか、物価高騰で人件費や材料費が上がっており、工事費が膨らんで発注に影響が出ている。そのため、前年に比べると進めたい工事が執行できなくなっている。そんな状況だが、道路整備や水路の破損など地区からの要望も多い。そのため、緊急性などを加味しながら、優先順位をつけて計画的に進めたい。

―町内の道路整備について

 望月 住民からもさまざまな要望が出ている。県に相談しながら順位立てをして要望したい。

 特に国道300号の道路改良事業は、全体で第3期を計画しているうちの第1期が完了し開通した。既存道は狭あいでヘアピンカーブが多く、大型車は対向車線にオーバーしながら曲がらないと急カーブを通過できない。その先に続く本栖湖や富士北麓地域が円滑につながれば、防災面や医療面、観光周遊ルートの向上に期待できる。大型車が安全に通行できるよう、早く着手してもらいたい。

―役場本庁舎移転の方向は

 望月 町役場本庁舎に近接して流れる富士川は、国が進める計画によって、段階的に築堤工事が進められている。築堤工事は町役場本庁舎の位置にも掛かるため、町としては国が示す計画を目安に、町役場本庁舎の移転新築事業への準備を進めるなど、公共施設の統廃合なども考えていかなければならない。

―旧身延中学校跡地の活用は

 望月 今年の4月には下山地内で新身延中学校の供用を開始した。それに伴い、梅平地内の旧中学校の校舎は解体してさら地とした。跡地には一部民地が入っているため、底地をしっかり固めてから、町にとって有効な利用策を考えていきたい。

―西嶋地内に誕生する道の駅について

 望月 来年春のオープンに向けて準備を進めている。中部横断自動車道の無料区間や、道の駅富士川から道の駅なんぶまでの区間はドライバーの休憩施設が少ない。町中や峡南地域を回遊する来訪者の休憩施設として期待したい。

―人口減少の課題について

 望月 町の人口構造から解決するには簡単な事ではないが、人口が減っても元気なまちづくりはできると思っている。「生まれてよかった 育ってよかった 住んでよかった身延町」を実現するため、3期目の今後4年間で成すべき目標を掲げ、スピード感を持って町政に取り組みたい。

 町政の1期、2期で進めた主な事業には、あらゆる人々の力を結集して作り上げた身延中学校新校舎建設事業や、あけぼの大豆の6次産業化、温泉施設の整備、県富士川クラフトパーク内には多くの桜の苗木を植えるなど、20~30年先の次世代に向けて、町に人を呼び込めるような仕掛けを今進めておきたい。

―座右の銘や趣味について

 望月 いつも大事にしている言葉は「初心」と「スピード感」。住民から求められる回答に素早く答えることは安心感を持ってもらえる。手元に問題を溜めておかず、早く解決することが町長の仕事。

 趣味はバイクのツーリング。愛車のハーレーに長年乗り、最近は伊豆や長野方面など行き先を計画して走る。旅先では公共施設の現場を見聞し、町の建設事業などに反映させている。

【略歴】望月幹也(もちづき・みきや)1959年7月生まれの65歳。県総務部市町村課課長、身延町副町長を経て、2016年10月に身延町長(第1期)就任、24年10月に身延町長3期目に就任。


【写真=望月幹也町長】

望月幹也町長

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