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国土交通省霞ケ浦河川事務所

霞ヶ浦河川/事業費257億を増額/西の洲・甘田入 地盤沈下対策が追加

2024/12/10 日本工業経済新聞(茨城版)

 国土交通省霞ヶ浦河川事務所(山本陽子所長)は6日、「2024年度第1回利根川水系霞ヶ浦河川整備計画フォローアップ委員会」を開催した。大学教授など学識経験者7人が委員として出席し、昨今の気候変動を踏まえ、霞ヶ浦河川整備計画の見直しを行ったほか、霞ヶ浦環境整備として実施している「田村・沖宿・戸崎地区」「霞ヶ浦水辺整備」「水質改善」の3事業について、継続することが妥当であるとした。このうち「水質改善」では、西の洲・甘田入地区の地盤沈下対策などの増加により、事業費を約257億円増額して約1714億円とする。また期間を9年延伸し、34年度までとする。

 冒頭、山本所長が「平成28年(2016年)2月策定の『利根川水系霞ヶ浦河川整備計画』について、社会情勢の変化や地域の意向等を適切に反映して点検を行うため、委員の皆さまの意見をお聞きすることを目的に令和3年(21年)にフォローアップ委員会を設置し、今回で2回目。河川整備計画に基づき実施される事業のうち、再評価対象となる事業の今後の対応方針、提案についてご審議いただきたい」とあいさつ。

 同委員会の委員長で、筑波大学システム情報系教授の武若聡氏が「霞ヶ浦では大きな水害は聞いていないし、水が足りないといったこともない。これは、河川事務所や関係各所の皆さまがしっかりと見ているということの証。事業をしっかりと進めてもらえるように、河川整備計画と行ってきた事業について意見をお伺いする」と話した。

 はじめに河川整備計画については、昨今の気候変動による水害や地域の意向を踏まえ、①事業を継続し、早期に目標とする治水安全度の達成等に向け整備を加速化②水害に備えるため、流域内の関係期間との連携を図り、流域全体での取り組みを促進③豊かな自然を再生するとともに、安全かつ容易にふれあうことができる水辺空間の確保に関する整備を継続-の3つの方針を確認した。

 事業再評価では、①田村・沖宿・戸崎地区(緩傾斜堤500m、旧堤撤去300m、保全再生地区造成300m、離岸堤2000m、前浜工1300m、期間1999~2024年)②霞ヶ浦水辺整備(リバースポット整備〔かすみがうら市安食(未整備)、かすみがうら市加茂、土浦市田村町、行方市玉造甲、稲敷市浮島、神栖市息栖〕、期間22~27年)③水質改善(浚渫土処理〔1975年~〕、浄化対策に関する調査研究〔北浦、期間2012~25年〕)の3事業について審議。

 このうち、③水質改善の浚渫土の処理については、1993年度から稲敷市西の洲・甘田入地区に搬出し、2012年度には浚渫が完了したが、甘田入地区で想定を上回る地盤沈下が発生。早期の農地返還に向け、追加の沈下対策としてサーチャージ盛土とペーパードレーン工法を併用して施工することとなった。

 そのため工事費134億円のほか、関連単価78億円と維持管理費45億円が追加となり、事業費は当初の約1457億円から約1714億円となった。併せて事業期限が2025年度から34年度までに延期となる。

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