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栃木県小山市

小山駅東口広場再整備、26年度着工概算10億円、来年度に実施設計、ペデストリアンデッキ設置

2024/12/13 栃木建設新聞

 小山市は、JR小山駅東口駅前広場再整備事業(駅東通り2丁目)に着手した。駅東西間を連絡する中央自由通路「さくら道」と「大学通り」を駅前広場上空で結ぶペデストリアンデッキを設置。白鴎大学の本キャンパスに直結させる。安全安心な歩行者空間と円滑な車両動線の確保と併せ、歩行者の回遊性を向上させる。2024年度の基本設計はオオバに委託。25年度は実施設計に移行。26年度は下部工と地下埋設物移設工、27年度に上部工を実施する。28年度の供用開始を目指し、総事業費約10億円を見込んでいる。

 バス乗降場へは駅前の横断歩道を渡らなければならず、駅直近には自家用車の乗降場が配置されている。横断歩道には信号機が設置されておらず、歩行者横断中は車両停止の列が連なる。歩行者と車両の動線が交錯し、バスの定期運行に支障を及ぼすケースがある。

 通常は公共交通優先の原則に立ち、駅直近にバス乗降場を配置するのが一般的。駅前広場開設直後の09年度のバス利用者は年間約36万人。20年度の約74万人に比べ半数に満たなかったため、自家用車とバスの乗降場設置がセオリーから逆転した。

 近年は高齢化で危険運転を心配する家族の声を背景に市営「オーバス」の利用者が右肩上がりで増え、自家用車から公共交通への転換が一層進む見通し。まちづくりワークショップや市民フォーラムでは駅周辺の歩行者の安全性確保を望む声が多い。

 駅東口では南北方向の歩行者と東西方向の横断歩道を渡る歩行者が入り乱れている。現状のままバスと自家用車の乗降場を入れ替えれば、歩行者の混雑に拍車。駅上空のペデストリアンデッキ設置後、駅から遠いバス乗降場を駅近くに移設するのが望ましい。

 23年度は東口駅前広場の交通動線改善検討をオオバに、測量は栃木測量設計に。24年度は地質調査を須田地下工機に委託。オオバが担当する基本設計は設計計画、現地踏査、横断歩道橋計画、橋梁予備設計、駅前広場設計、通路上屋予備設計、照査を指示した。

 延伸先には白鴎大学や大手家電量販店が立地。18年度に駅東口にキャンパスを構えた白鴎大は市に対し、駅から校舎に直結するペデストリアンデッキの設置を要望。調査設計の中で白鴎大、JR東日本、JR貨物、バスやタクシー事業者と協議を重ねる。

 26年度のデッキ下部工支柱設置の際は、支障地上工作物と地下埋設物件を移設。着工前に占用者と協議を済ませる。供用開始後の28年度はバス乗降場を駅近くに移設し、バスの定時性を可能な限り確保。現在のバス乗降場に乗用車乗降場を移す。

 市は事業化に先立ち歩車道分離手法を①立体横断施設の設置②平面形状の再編-の2案を比較検討。立体横断はペデストリアンデッキ設置と乗降場の入れ替え。平面形状再編は南側広場を公共交通、北側広場を自家用車専用に変更する内容。

 メリットとデメリットを総合的に検証した結果、両手法とも概算費用は10億円で同じ。立体横断施設は課題を早期に解決できる上、施工範囲が限定。平面形状変更は施工範囲が広く、交通事業者や警察との協議調整に時間を費やすことから断念した。

 駅中央自由通路は延長90m、幅員10m。エスカレーターは東西口に上下各2基、通り抜けタイプのエレベーター(18人乗り)は東西口に各1基を備える。階段は西口が南に下り、東口は北に下りる形。階段はエレベーターに沿って設置されている。

 駅中央自由通路は12年度に開通。思川桜の花びらをイメージした淡いピンクの床にちなみ、さくら道と命名。13年度には自由通路近くに市営駐輪場、自由通路階段下に公衆トイレ、自由通路北側歩車道を整備。駅前広場の機能充実や利便性向上に努めた。

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