国土交通省は品確法の運用指針改定を踏まえた取り組みとして2025年度、総合評価落札方式でS1型(仮称)の試行を開始する。現行のS型を改編し、「技術向上提案」を求めるもの。工期、安全性、資産性、脱炭素化などの価格以外の要素を考慮することから想定しているテーマ例として4点、さらに発注方法のイメージを示した。予定価格の5%を上限に、提案分の費用上乗せが可能になる。
品確法にVFM(Value For Money)が盛り込まれ、経済性に配慮しつつ「総合的に価値の最も高い資材等」を採用するなどとされている。
想定している設定テーマ例は、発注者が標準的な仕様(案)を設定できる工事の中で、競争参加者の技術提案に基づく仕様や工法の変更で、さらなる品質向上(総合的に価値の最も高い資材等の採用を含む)が期待されるもの。これらを参考に工事毎で設定することになる。
一つは工期延期のリスク回避で、施工性の高い工法への変更。二つ目は安全性の向上。交通渋滞・交通事故発生の防止、作業員の危険防止など。三つ目は、構造物の新設時における、点検困難箇所への維持管理性の高い工法等の採用。四つ目はカーボンニュートラルに貢献する工法等の採用。
四つ目については、先に脱炭素化への寄与の程度の評価手法を策定する必要がある。また、実績から工事成績などで加点するなどの出口評価を先行させ、実績を積み上げた上で総合評価でテーマにする考えもあるため、直ちにテーマとするかは今後の検討となる。
発注の流れとして、提案には「技術向上提案の実施にかかる概算費用」を記載するが、入札金額には当該提案費用は含めず当初仕様で入札。発注者は、技術向上提案について「適格性」「実現性」等の観点から評価、技術点の一部として総合評価の点数に加算する。また、技術向上提案を採用するかは、第三者委員会に諮った上で発注者が決定する。採用決定した技術向上提案は、当初契約後に発注者指示の契約変更(増額)を行うことで、受注者に提案内容の履行義務が生じるというもの。
なお、提案採用にかかる契約変更額は予定価格の5%を上限に当面行う。