宇都宮市の池上町地区優良建築物等整備事業組合(采東諭智子理事長)は16日、うつのみや表参道スクエア会議室で大通り沿いの「中村第1ビル」(池上町)の建て替え説明会を開催した。再開発ビルはRC造地下1階地上14階建て延べ床面積1万3000平方m(建築面積1000平方m)。両側はタワーパーキング(72台収容)で囲む。地上1階はホテルフロントスペースとレストラン、2~14階が客室300以上のホテル。地下1階は設備機器室。2025年4月に解体工事に着手し、26年4月に本体新築工事を開始する。50mの高層ビルは28年10月の完成が目標。
再開発コーディネーターはフォルテックス(佐藤浩社長)、設計は渡辺有規建築企画事務所(渡邉有規社長)が担当。組合員は丸井物産(采東諭智子社長)と斎藤商店(斎藤重吉社長)の2社。24年6月から権利者が検討を開始し、11月の組合設立と同時に構想案を作成。
丸井物産の采東勲興取締役経営企画部長は「中村第1ビルは1967年に完成し、丸井宇都宮店を核店舗に映画館や飲食店が営業していた。官民協働で実現を目指す都心部まちづくりビジョンに参画。LRT西側延伸の相乗効果を狙う」とあいさつ。
二荒山神社と東武宇都宮駅の中間点に立地し、大通りとシンボルロードに隣接する中心市街地という好条件を誇る。築60年近くが経過する老朽化の影響で空きビル状態。地域特性を十分に発揮できておらず、1500平方mの敷地面積を再開発する。
市では初となる国の優良建築物等整備事業(優建)を導入。市街地再開発事業は面積5000平方m以上なのに対し優建は1000平方m以上、地権者数は2人以上と柔軟。市は快適な都市環境を創出する「宮の街ナカX(エキ)サイト」支援策を策定している。
建物形状は総14階建て。1階はレストラン1件を誘致予定。2~13階は中央コアスペース(エレベーター)を囲む形で客室を配置。最上階のペントハウスは2室(各32・45平方m)、左右に男女浴室、北側に露天風呂、南側中央に湯上がりラウンジを配置する。
市への都市計画手続きでは高度利用地区の変更を申請。25年度は1月に都市計画素案の縦覧、2月に素案の公聴会、4月に都市計画案の縦覧、5月には都市計画審議会に諮る。周辺地域は電波障害調査を試み、対策を講じる。工事の搬入搬出口は大通りを避ける。
特色は①まちづくりルールを策定し、魅力的な都市景観を形成②老朽建物更新による耐震化③飲食店、ホテル経営を通じたまちのにぎわいの創出④大通り側の壁面後退によるゆとりある歩行者空間の整備。24年度内に周辺地域とまちづくりの協議を始める。
容積率の最高限度は現況600%を750%に、建ぺい率の最高限度は現況80%を70%に、容積率の最低限度を200%、建築面積の最低限度を200平方m、壁面の位置制限を2mに改める。周辺住民にはビル完成後の日照時間の変化や影響の理解を求めた。
目標とする姿はLRTを基軸とした公共交通と一体となった都心部の形成。居心地が良くウォーカブルな空間に変えていく官民協働のまちづくり。老朽化した未利用ビルの放置は中心市街地の景観と活性化に好ましいはずはなく、民間の事業計画を後押しする。
市は立地適正化計画における「高次都市機能誘導区域」(国道4号と交差する鬼怒通り~栃木街道との桜通り十文字間の都心部)の民間開発を積極的に支援。特にウォーカブルな空間形成に取り組む民間開発の誘導に力を注ぐ。重点エリアを設け、支援策を強化する。