県県西環境森林事務所は、鹿沼市引田地内の岩花地区で治山事業を検討。8月25~26日の集中豪雨で土砂災害が発生。下流部では県土整備部が国交省の災害関連緊急砂防事業を導入し片山沢として堰堤工の整備に着手した。治山事業は砂防工事が完了次第、現地測量を実施し被害状況を調査。導入予定エリアを保安林に指定し事業化に備える。砂防事業の完了予定は2025年度末。現地測量は26年度着手を見込んでおり、砂防事業による土砂流出抑制効果などを判断し事業化の時期を検討していく見通し。
岩花地区の被災は水平距離で約600m、高低差で250~300mにわたり土砂が流出した。岩花地区は1997年度に床固め工を実施。土砂流出を抑制している。
導入事業は発災直後に採択の災害関連緊急治山事業ではなく、通常の復旧治山事業を検討。
想定される工事は砂防堰堤施工地の直上流部に当たる中流域が治山ダムや床固め工などの渓間工。上流域は土留めや緑化工などの山腹工事。
県土整備部の片山沢砂防の全体事業費は4億4000万円。国が3分の2を補助。25年度末の概成を見込む。
整備スケジュールは、今年度で設計をまとめ用地調査・補償に着手。25年度早期の工事発注を見込む。堰堤工の詳細設計は富貴沢建設コンサルタンツが担当。
同地では堰堤施工に先立ち、降雨などによる2次被害を防止するため渓流2カ所の合流箇所に応急復旧工のアンカーネット式構造物を施工。工期は12月末で高村土建が担当。砂防堰堤はアンカーネット式構造物の下流側に計画した。
片山沢は1級河川大芦川の左支渓。豪雨により土石流が発生し流木や巨石などが人家に流れ込んだ。保全対象施設は主要地方道鹿沼日光線と人家11戸。
豪雨は8月24日から26日にかけて、日本に接近した台風10号の影響で線状降水帯が発生。本県の中央部から北西部にかけて記録的な雨量を観測。宇都宮気象台の発表によると、被災した鹿沼市では56・5㎜を観測している。