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栃木市水道ビジョンを改訂、総額68億円,管路耐震や浄水場電気設備、直近5年で年13.6億円

2024/12/19 栃木建設新聞

 栃木市は18日、市水道ビジョン改訂案を市議会に説明した。2024~33年度は年平均14億6000万円、10年間の総額では146億円を投じる。24~28年度の5年間は年平均13億6000万円、68億10000万円を投入。塩化ビニール管への管路耐震化に19億円、4浄水場電気設備更新(西方、岩舟静戸第1、薗部、大平蔵井)に14億円、道路や下水道事業に伴う管路整備に12億1000万円を見込んでいる。

 管路(導水管、送水管、配水管)の総延長は23年度末で1207㎞。管種別構成比はダクタイル鋳鉄管56・5%、塩化ビニール管23・2%、配水用ポリエチレン管13・7%、ポリエチレン管6・0%、鋼管・ステンレス管0・6%。

 22年度の管路全体の耐震適合率は22・3%と低調。基幹管路の耐震適合率は26・1%で、90%以上がダクタイル鋳鉄管。耐震適合率と有収率向上のため、耐用年数を超過する塩化ビニール管を中心に耐震管へ布設替えする。

 市は耐震管路にダクタイル鋳鉄管(耐震継手、K型継手で良質地盤に埋設)、配水用ポリエチレン管、鋼管・ステンレス管(溶接継手)を適合管に定義。地盤に見合った耐久性、施工性、価格を判断し管種を選んでいる。

 24~28年度の投資計画は薗部浄水場紫外線照射装置設置に5億5000万円、浄水場機械設備更新(岩舟静戸第1、岩舟静戸第2、大平蔵井、藤岡等)に5億4000万円、発電設備更新(蔵井浄水場、川原田第2水源)に3億円。

 計装設備外更新に2億9000万円、浄水場ろ過機改修(藤岡蛭沼、岩舟静戸第2、藤岡)に2億5000万円、発電設備設置(原宿浄水場、浄池庵配水場)に2億2000万円、その他が4000万円となっている。

 14年12月に旧1市5町の水道事業を統合。23年度の給水人口は14万4589人、1日平均配水量は6万2034立方m。浄水場18(栃木6、大平、西方各3、藤岡、都賀、岩舟各2)、配水場9、増圧ポンプ場14、水源56カ所。

 地下水質に応じ塩素滅菌、急速ろ過、生物活性炭、紫外線で浄水処理。給水区域は南北に広く起伏に富んだ地形を反映し、配水場や増圧ポンプが多い。自然流下と加圧配水方式を併用。非常時の配水区域間の相互融通体制構築を急ぐ。

 56カ所の水源のうち深井戸が45カ所、浅井戸が11カ所。地下水は年間を通じ水質が安定し、浄水処理や点検管理が比較的容易。1度水質が悪化すれば回復には長期間を要し、予備水源やバックアップ体制の確保が課題。

 大部分の水源は塩素滅菌処理のみで水質基準を満たす。藤岡、岩舟の両地域は鉄やマンガンの含有濃度が高く急速ろ過で浄水処理。出流、星野の両浄水場はクリプトスポリジウム対塩素性微生物発生対策に紫外線照射装置を導入している。

 配水場9カ所、増圧ポンプ場14カ所は高低差の激しい場所に立地しており、点検管理に多くの時間と労力を費やす。非常用発電機が未設置の施設は設置に向けて検討する。石綿セメント管は23年度までに解消した。

 目指すべき方向性は①安全で信頼される②強靭で災害に強い③持続可能な運営。将来に向けて広域連携、ウォーターPPPの導入を検討。市は23年度から近隣市と広域連携で経費節減効果のある業務の抽出や技術継承の勉強会を始めた。

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