4月から建設産業に時間外労働の上限規制が適用されるなど、実効性の高い働き方改革が求められた今年、人件費や資材価格高騰の高騰など多様な課題に直面した1年となった。年末を迎えるにあたり、2024年における群馬県建設業協会(青柳剛会長)の主な出来事を取り上げる。
「しっかり働き ゆっくり休む 4週8休」
24年度の行動指針『しっかり働き ゆっくり休む4週8休』は、時間外労働の上限規制の問題に対して、1年半にわたってアンケート調査や提言活動を団体として行ってきたことや、会員企業の取り組み状態を踏まえたもの。青柳会長は「国交省ならびに群馬県が受発注者間のウイークリースタンスの徹底を進め、オンとオフのメリハリの利いた仕事の進め方を推進していく中、それぞれの企業の組織内でもウイークリースタンスをしっかりと進めていこうといった指針。会員はもちろん、関係部署にもしっかりと伝えていく」と力強く語った。
災害情報発信で新展開
3月には能登半島地震を契機とした「災害対応組織力」の基礎調査を取りまとめ公表。「国土強靱化の更なる推進」「行政と地域建設業との連携」「限界工事量の確保」の3点を行政に対して提言している。また、群馬テレビ(中川伸一郎社長)、上毛新聞社(関口雅弘代表取締役社長)、日本放送局前橋放送局(西村理局長)、群馬県コミュニティ放送協議会(圓岡孝文会長)とそれぞれ「災害に関する情報発信等に係る協定」を締結。これにより災害情報共有システムの情報へアクセスすることが可能となり、地域住民へより短時間で多くの正確な情報を伝えられることとなった。
「現場管理効率化のデルタモデル」提唱
4月から時間外労働上限規制が適用されて約6カ月が経過した10月、会員企業の現状や課題を把握するためアンケート調査結果を公表した。群建協が問題提起を始めた2022年10月以降に働き方改革に取り組んだ企業が9割を超えるなど、上限規制に備え意識改革を早い段階で実現していることが伺えた。一方で『工事コストの上昇』『工事の生産性低下』といった課題が浮き彫りとなった。調査結果を受け青柳会長は「働き方改革は地域全体で」を大テーマとし、◇協調領域のDX拡張◇労務単価の引き上げと歩掛の見直し◇受発注者間の業務の洗い出しとスリム化の徹底-の3点について提言・要望をまとめた。このうち「協調領域のDX拡張」については「現場管理効率化のデルタモデル」という考え方を提示。青柳会長は「建設キャリアアップシステムや建退共など、電子化されたものを連携することによって、初めて基礎基盤が確立し、現場管理が向上する」とした。加えて「労務安全書類の電子化もデータ基盤に組み込むことによって、効率化でき、仕事量の軽減に繋がる」と話すと「こうした協調領域のDXが拡張、加速化することで、現場担当者や経理事務の負担が軽減される」と考えを示した。その上で「地域の建設業として進めていくように、国や県に提言として発表していきたい」と強調した。