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県内水道事業/高耐震化率は2市/カルテで“見える化” 基幹管路は平均以上

2024/12/25 日本工業経済新聞(茨城版)

 国土交通省は、全ての水道事業者の経営状況と、基幹管路、浄水施設、配水池の耐震化の現状を〝見える化〟した「水道カルテ」をまとめた。料金回収率(給水費用を給水収益で賄っている割合)と施設の耐震化率等(基幹管路の耐震適合率、浄水施設と配水池の耐震化率)が指標。県内の水道事業者の耐震化率(2022年度)の平均は、基幹管路46%、浄水施設22%、配水池47%。全国の平均は、基幹管路42%、浄水施設43%、配水池63%のため、県内は基幹水路の耐震化率は高い。耐震化率が全国平均より高く料金回収率も100%を上回っている事業者は鹿嶋市、つくば市となった。(県内水道事業者の耐震化率は別表)

 水道カルテは、料金回収率と耐震化率等を基に、水道事業者を8グループに分類。

 料金回収率が100%未満(給水費用を給水収益で賄えていない)の団体をグループⅠ、100%以上(給水費用を給水収益で賄えている)の団体をグループⅡとした。

 また、施設の耐震化率等について、全国平均以下の項目がゼロ、1、2、全て、の四つに分け、8グループとしている。

 カルテを作成することで、水道事業者が経営改善と施設の耐震化の緊急性を認識し、早急に対策を検討、実施するきっかけとなることを国交省では期待している。

 本年の能登半島地震では、耐震化されていない基幹施設で被害が生じ、広範囲で長期間の断水が発生。耐震化の遅れと対策の重要性が認識された。また人口減少などによる料金収入の減少、施設の老朽化に伴う更新投資が増加することが見込まれ、水道事業の経営状況が厳しくなることが見込まれる。そのため国交省では、水道カルテを作成した。

 茨城県内の水道事業者のグループ分けについては次の通り。

 ◆グループⅠ-0(料金回収率が100%以下で、施設の耐震化率が全国平均を下回っているのがゼロ)=神栖市、ひたちなか市

 ◆グループⅠ-1(料金回収率が100%以下で、施設のうち1項目の耐震化率が全国平均を下回っている)=小美玉市、美浦村、筑西市、潮来市、東海村、城里町

 ◆グループⅠ-2(料金回収率が100%以下で、施設のうち2項目の耐震化率が全国平均を下回っている)=かすみがうら市、那珂市、河内町

 ◆グループⅠ-3(料金回収率が100%以下で、全ての施設の耐震化率が全国平均を下回っている)=桜川市、大子町、常総市、北茨城市、石岡市、古河市、境町、常陸太田市、稲敷市、大洗町、五霞町、鉾田市

 ◆グループⅡ-0(料金回収率が100%以上で、施設の耐震化率が全国平均を下回っているのがゼロ)=鹿嶋市、つくば市

 ◆グループⅡ-1(料金回収率が100%以上で、施設のうち1項目が耐震化率が全国平均を下回っている)=結城市、守谷市、県鹿行用水供給、高萩市、県県南西用水供給、阿見町、水戸市、県県中央用水供給

 ◆グループⅡ-2(料金回収率が100%以上で、施設のうち2項目の耐震化率が全国平均を下回っている)=県南水道企業団、日立市、土浦市、つくばみらい市

 ◆グループⅡ-3(料金回収率が100%以上だが、全ての施設の耐震化率が全国平均を下回っている)=八千代町、行方市、笠間市、茨城町、坂東市、常陸大宮市、湖北水道企業団、下妻市

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