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国土交通省関東地方整備局(建設)

事業費340億増額/改良、橋梁工を推進/東関道水戸線

2025/01/07 日本工業経済新聞(茨城版)

 関東地方整備局は、東関東自動車道水戸線(潮来~鉾田)の事業継続を事業評価監視委員会(2024年12月23日)に諮り、承認された。労務費や材料単価の上昇、路床材の購入土への変更などで事業費が約340億円増額となるが、改良工事や橋梁工事を進め、一部未取得用地の明け渡しが順調な場合、全線開通は26年度、北浦IC(仮称)~鉾田IC間は前倒しで26年度半ばの開通を目指す。残事業費は342億円。


 関東地整では今後、24年度補正予算分の工事として小泉南地区改良その4(潮来市、道路土工3万2000立方m)、延方西地区改良その2(潮来市、道路土工1万9700立方m)などを計画。また、国庫債務負担行為分として串挽地区改良他工事(鉾田市、道路土工2万立方m)、行方PAランプ橋下部工事(行方市、下部工2基)を発注する。

 東関東自動車道水戸線(潮来~鉾田)は、潮来市延方(潮来IC)と鉾田市飯名(鉾田IC)を結ぶ30・9㎞(W13・5m)。暫定2車線(完成4車線)で09年度に事業化。15年度に着工した。用地取得は24年3月末時点で97%で、未取得部分は土地収用法の手続きを進めている。また改良工事、橋梁工事を推進している。

 また(仮)行方PAの設置を計画。23年9月に設計用地説明会を開催し、23年12月に用地幅杭を完了。24年1月から用地測量と調査を開始し、用地買収を進めている。行方PAの西側には行方市が地域振興施設(道の駅)の整備を計画。基本計画の策定を進めている。

 一方、事業費については約340億円増額となる。増額の内訳は①労務費や材料単価の上昇で約235億円②潮来市島須地区で盛土安定化のための地盤改良の追加、行方市四鹿地区で排水性の高い砕石への置き換え、排水工で約5億円③鉾田IC付近の切土部路床で基準を満足する良質土を購入、橋梁工事で重機使用の地耐力不足の地盤改良工(深さ約3~5m)で約26億円④発生土の運搬距離の増加(平均約30㎞)で約20億円⑤行方PA周辺の本線の一部(約3㎞)を暫定2車線から4車線に変更で約20億円⑥コンクリート製の中央分離帯についてプレキャスト材(工場製作)への変更で約20億円⑦供用中ICとの接続箇所の交通規制の変更で約4億円⑧防草対策や維持管理時の転落防止柵の設置などで約10億円―。

 これらの結果、事業費は約1760億円から約340億円増額の約2100億円となる。

 一方、事業の投資効果は、高速ネットワークの形成、事故・災害時の代替路機能、県内周遊観光の支援、地域振興の支援などが見込まれる。

 費用便益分析についても、東関道事業全体(大栄JCT~茨城町JCT)の費用便益比(B/C)は3・3(事業化区間は0・6、残事業は5・1)と便益が大きく上回ると試算。

 費用便益分析以外でも①鹿行地域の企業立地の促進②観光客増加③防災機能の向上―を見込む。

 コスト縮減については、下層路盤をセメント安定処理から鋼製スラグに変更することで約5億円、鉾田IC付近の剛性防護柵を新設から既設の再利用に切り替えることで約1億円を縮減。

 また、知事や沿線自治体からも早期の開通を求められていることを紹介。

 そのため、首都圏や北関東、東関東を結ぶ広域な高速ネットワークの形成、重要港湾群や空港へのアクセス向上、災害時の代替路確保の観点から、事業の必要性・重要性は高く、コスト縮減を踏まえつつ早期の効果発現を図ることが妥当と「事業の継続」を同委員会に諮り、了承された。

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