国土交通省水管理・国土保全局河川計画課は『複合災害』への備えを強化する方策について、有識者会議で検討を開始した。地震災害後に発生した大雨で被害が拡大した能登半島の事例を踏まえ、被害減少のための全国的な備えを検討する。議論は3月まで行う。
能登半島では、2024年1月の地震で地すべりや不安定土砂の発生による河道閉塞、地盤の隆起、護岸損傷などが起きた。さらに9月の記録的豪雨により、土砂・洪水氾濫が発生するなど甚大な被害となった。
南海トラフ巨大地震発生や気候変更による水害・土砂災害の発生頻度が高まっていることを踏まえると、こうした先発の自然災害の影響が残っている中、後発の自然災害が発生することで被害が拡大する『複合災害』の発生頻度が高まることも想定される。
この『複合災害』の被害を効率的・効果的に減少させるため、全国的な備えの強化について、河川工学、砂防工学、避難行動、水文気象などの有識者による『能登半島での地震・大雨を踏まえた水害・土砂災害対策検討会』を設置して検討を行うこととなった。14日の初会合では、能登半島の被害状況や対策を確認したうえで、先発の自然災害発生後の対応として強化すべきこと、河川・山地部における土砂や流木への備えについて強化すべきことを論点として整理した。
委員からは「データセンターを国が整備して、ハザードマップなどのデータを一元管理すべき」「災害監視のための衛星システムを国交省が管理すると良いのではないか」「能登半島は1月地震後9月に豪雨が発生した。これが梅雨の時期であれば、もっとひどい状況になったと考えられる。想像力を働かせて多様なシナリオを作っておくことが大事」などの意見が出ていた。
今後は土砂・流木や河道閉塞などの項目ごとに課題を整理し、次回2月の会合で議論を進める。