宇都宮市下水道施設管理センターはウォーターPPP導入を見据え、20日から市内業者を主体にアンケート調査、2月には参画の意向を確認するサウンディング調査を実施する。導入可能性調査の一環で、アンケート対象は下水道の土木・電気・機械設備施工業者、清掃・産業廃棄物処理、コンサルタントなど約400社。20日から5日間を予定。サウンディング調査は2月初旬から2週間程度を見込んでいる。市は管理・更新一体マネジメント方式(レベル3・5)の更新支援型を想定。27年度の汚水管改築事業の補助要件化を視野に、26年度には契約業務の入札を公告する見通し。
市の下水道は①田川第1(下河原水再生センター)②田川第2(川田水再生センター)③清原(清原水再生センター)④河内(河内水再生センター)⑤上河内(上河内水再生センター)の公共5処理区と南部の県県央浄化センターで処理する流域の計6処理区に大別される。
ウォーターPPPは処理区ごとに最低1処理区でも導入が可能。アンケートでは国交省などの公表資料を要約しウォーターPPPの認知度や関心度、参画意欲などを確認。
サウンディング調査では、県内外事業者を含め導入に向けた意向調査を実施する。最適な結果が得られないと判断されれば再調査を実施。今夏をめどに調査結果をまとめ導入の可否を判断する。
ウォーターPPPは水道、下水道、工業用水道分野で公共施設等運営事業に直接あるいは段階的に移行するための官民連携方式。原則10年間の長期契約で管理と更新を一体的にマネジメントする。
国は31年度までに全国自治体で100件の具体化を試算。緊急輸送道路下の埋設汚水管の耐震化を除き、ウォーターPPP導入が国庫支援の条件。
レベル3・5は①長期契約(原則10年)②性能発注③維持管理と更新の一体マネジメント④プロフィットシェア―4項目を満たすことが要件。
方式では更新工事を含め一括で民間に委ねる更新実施型と発注に関係する技術力を地方公共団体に残す更新支援型に大別される。実施型は地方公共団体の体制補完の効果が大きく、支援型では維持管理を担う民間事業者の観点からより効果的な更新計画案の作成が期待できるとされている。
管理者は実施型と支援型を任意に選択。レベル3・5の中で管路と処理場を一体的管理、あるいは対象施設ごとに業務範囲を使い分けることも可能。
市の公共5処理場は民間事業者と水質管理、施設の運転操作、保守点検、ユーティリティの調達と管理に加え、一定額以下の修繕などを含めたレベル2・5の包括的維持管理業務を実施。包括的維持管理業務からPPPへ円滑な切り替えと併せ、管路との一体化や処理場と管路を切り離した契約方法などを検討していく。SPCやJV編成など参画事業者の形態は問わない。導入可能性調査は日本工営が担当。
地方公共団体は導入まで3年程度が必要とされ、初年度に可能性調査、2年目には事業者を選定する入札と公募の準備。3年目に入札公告と契約引き継ぎを行う。事業導入を前提に交付金による汚水管改築事業の対象となる。
導入の検討に当たっては、民間の参画が見込めるよう最大限の工夫が重要とし、国は▽充実した情報開示と官民対話▽適切な対象施設と業務範囲の設定▽事業規模を広げる広域化や共同化▽水道など他分野との連携―などの事前準備の必要性を挙げている。
先行して導入した自治体では、募集要項で地域要件を設定し地元企業の参画を定めるなど10年の長期契約と併せ、企業側の雇用対策にも効果を発揮している。