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栃木県小山市

小山駅東口広場再整備、全面屋根で幅9m、立体横断デッキに30億円

2025/01/21 栃木建設新聞

 小山市は20日、JR小山駅東口駅前広場ペデストリアンデッキ(駅東通り2丁目)の仕様を市議会に説明した。将来の通行量増加を見据え、全天候型の屋根付きで幅員9m、一般車乗降場方面に上下エスカレーターを設置する。2025年度は実施設計を委託。26年度は下部工と地上や地下の支障物移設工を、27年度は下部工と上部工、バスと一般車の乗降場配置替えを実施する。28年度の運用開始を目指し、総工費約30億円を見込んでいる。

 駅前広場では白鴎大学本キャンパス前の横断歩道上で歩行者と車両動線が交錯。バス乗降場へは駅前の横断歩道を渡らなければならず、駅直近には自家用車の乗降場が配置されている。横断歩道には信号機が設置されておらず、歩行者横断中は車両停止の列が連なる。

 バスの定期運行に支障を及ぼすケースがあり、歩行者の安全確保と通勤通学時間帯の渋滞解消が課題だった。歩行者と車両動線の完全分離、バスと一般車の乗降場の入れ替えが妥当と判断。駅前の回遊性を高め、ウォーカブルなまちづくりを推進する。

 抜本的な解決策を検討した結果、駅東西間を連絡する中央自由通路「さくら道」と駅東地区への主要動線「大学通り」を駅前広場上空で結ぶペデストリアンデッキの設置を決定。白鴎大学キャンパスに直結し、日本製粉小山工場跡地へ接続可能な形状とする。

 00年9月に閉鎖した小山工場跡地には白鴎大学や家電量販店のヤマダ電機が立地。一部は市が高度利用を計画しており、将来の開発計画に備える。ペデストリアンデッキは市のシンボルとなることを考慮し、全面屋根の幅員9mで設計する。

 自転車の通行を認めるほか、安全で快適な待ち合いの場の活用を促す。一般車乗降場は駅直近から離れるため、上りと下りのエスカレーターの設置で利用者の利便性を担保。23年度は駅前広場の交通動線改善検討をオオバに、測量は栃木測量設計に委託した。

 24年度は駅前広場の地質調査を須田地下工機に、基本設計をオオバに委託。基本設計では設計計画、現地踏査、横断歩道橋計画、橋梁予備設計、駅前広場設計、通路上屋予備設計、照査を指示した。公共交通優先の原則通り、駅直近にバス乗降場を配置し直す。

 まちづくりワークショップや市民フォーラムでは駅周辺の歩行者の安全性確保を望む声が多い。近年は高齢化で危険運転を心配する家族の声を背景に市営「おーバス」の利用者が右肩上がりで増え、自家用車から公共交通への転換が一層進む見通し。

 市は事業化に先立ち歩車道分離手法を①立体横断施設の設置②平面形状の再編-の2案を比較検討。ペデストリアンデッキは課題を一気に解決できる上、施工範囲が限定。平面形状変更は施工範囲が広く、昼夜問わずの交通規制が生じることから断念した。

 駅中央自由通路は延長90m、幅員10m。エスカレーターは東西口に上下各2基、通り抜けタイプのエレベーター(18人乗り)は東西口に各1基を備える。階段は西口が南に下り、東口は北に下りる形。階段はエレベーターに沿って設置されている。

 駅中央自由通路は12年度に開通。思川桜の花びらをイメージした淡いピンクの床にちなみ、さくら道と命名。13年度には自由通路近くに市営駐輪場、自由通路階段下に公衆トイレ、自由通路北側歩車道を整備。駅前広場の機能充実や利便性向上に努めた。

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