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移転用地確保し警察本部新設/官民連携事業手法の導入検討/県庁周辺整備方針

2025/01/24 長野建設新聞

県は県庁周辺の整備方針案をまとめ、22日に開催した第3回県庁周辺の整備方針策定に向けた有識者会議で示した。それによると、県が自ら整備を行うエリアを「県有施設エリア」、整備方針に基づく一体的な整備の波及を促すエリアを「県庁通り沿道エリア」と設定。主な整備内容として、県有施設では警察本部庁舎の新設。沿道については広場空間や歩行空間、オープンスペースを設ける計画。

県庁周辺の整備は、国道19号から国道406号までの県道399号を軸とし、県庁をはじめとした県有施設を有する範囲中心とするエリアを対象としている。課題解決に向け、4つの視点を設定。①集約・再編による県政機能の強化②官庁集積地にふさわしいみどりや景観の創出③多様なニーズに応じた働き方の実現④施設整備に伴う環境への配慮の取り組み―。

集約・再編による県政機能の強化についての整備方針は、警察や県行政施設の集約・再編を行うことにより、安全安心で県民に開かれた県政拠点としての機能強化を図るとした。具体的な取り組み項目として、警察本部庁舎の新設と災害対策機能を強化を図る。警察本部庁舎は県有駐車場の移転集約や市道付け替えなどによる基盤整備により、移転用地を確保し庁舎を新設する。施設整備にあたっては、官民連携事業手法の導入を検討し、災害に強い耐震性能を備えた施設を建設する。庁舎建設への基盤整備は周辺環境を踏まえ、緊急輸送道路(県道399号線)と直接接続するなどアクセスを強化する。

県有施設については、将来の県政運営に必要な機能や規模を精査し、警察本部移転後の空き床などへ適切な集約再編を行う。県議会からは県議会議員会館廃止の申し出があったため、同敷地を有効活用する。なお、施設を新設する際は自動車交通の影響を考慮し、県道399号線とのアクセスや駐車場出入部道路、施設に安全に移動するための歩行空間など適切な周辺道路整備を実施する。また、駐車場については県庁周辺の県有地を活用し、県有駐車場などを集約する立体駐車場を新設する。駐車場配置にあたっては、歩行者の安全性や利便性に配慮した駐車場出入部の適正配置とともに、県庁通りの交通円滑化の妨げにならないよう自動車交通量および移動実態を踏まえたアプローチ方法を検討する。それに伴い、周辺道路を含めた交通計画を検討するとした。

施設整備に伴う環境への配慮の取り組みとして、県有施設におけるゼロエネルギー化を推進する。県有施設の新設は原則ZEB化とし、再生エネルギー100%電力の積極的な導入を図り、継続的な運用マネジメントを検討する。そのほか、ヒートアイランド緩和への取り組みでは、施設を新設するにあたって、オープンスペースの設置および緑化、表面の熱負荷軽減に資する保水性の高い環境配慮型の舗装材(芝生、芝舗装、保水性舗装など)の導入など、建築物や敷地の被覆対策を実施する。

官庁集積地にふさわしいみどりや景観の創出への整備方針について、沿道沿いにオープンスペースを設け、県庁通りのみどりの連続性を意識した敷地内の樹木の配置を行う。また、県有施設や県庁通り沿道エリアの施設新設にあたっては、オープンスペースとともに安全で快適な移動ができる、ゆとりある歩行空間を確保する。広場空間については、県庁南側を流れる善光寺用水、大口分水工を生かし、メインエントランスとなる結節空間からの視認性を意識した親水空間や散水路の整備を実施する。広場空間の整備にあたっては、迅速かつスムーズにな災害応急活動や容易に避難できるアクセス性の向上に配慮し、防災機能の向上を図る。

整備に向けたスケジュールをみると、短期的には警察本部庁舎の基本計画策定を設定。中長期には集約駐車場整備や警察本部庁舎整備、県有施設の集約再編整備、集約再編後の跡地活用などを行うとしている。

整備方針策定にあたっては、県行政施設の老朽化、施設の環境性能の低さや手狭な執務環境、県行政施設や駐車場の分散立地。また、県庁においては外部に開かれた機能や空間の乏しさが問題となっていた。県財産活用課は「県庁周辺の県有地等有効活用のための調査・検討業務」の公募型プロポーザルで、URリンケージ長野営業所(長野市)を特定。今年3月21日までの履行期限で業務を進めている。

県は県庁周辺の県有施設を一体的に整備し、官庁街にふさわしい風格や潤いのある空間にすることを考えており、県庁周辺の整備方針策定に向けた有識者会議を2024年8月に設立し、まちづくりの専門家などから意見を聞き議論を重ねてきた。今会議が最終回となっており、今後は2月上旬をめどにパブリックコメントを実施。本年度中に整備方針を策定する。

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