総務省は24日、各都道府県財政担当課などに対し、地方公共団体の予算編成作業における地方財政の見通し・予算編成上の留意事項を通知した。通知は市区町村に対しても趣旨を連絡するよう求めている。建設分野では、財政措置に関する内容のほか、施工時期平準化の推進、PPP/PFI導入に関する項目も設けている。
留意事項のうち建設関連の概要は次の通り。
◆5か年加速化対策
5か年加速化対策に基づく直轄事業および補助事業を当初予算に計上する場合は、地方負担を防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債で措置すること。補正予算に計上する場合は、地方負担を補正予算債で措置すること。
◆防災・減災対策
津波浸水想定区域からの庁舎移転事業における建築単価上限は、資材費高騰の状況を踏まえ、46・8万円/㎡から50・1万円/㎡へ引き上げること。緊急防災・減災事業債の事業期間(25年度まで)終了後のあり方は、25年度までに建設工事に着手した事業は26年度以降も現行と同様の地方財政措置を講ずる。
◆緊急自然災害防止対策事業費
積雪寒冷特別地域の道路における凍上災害の予防・拡大防止対策を対象事業に追加した上で、25年度は4000億円(前年度同額)を計上する。地方負担は全額地方債(緊急自然災害防止対策事業債)を充当できる。なお事業債の期間(25年度まで)終了後の在り方は、25年度までに建設工事に着手した事業は26年度以降も現行と同様の地方財政措置を講ずる。
◆緊急浚渫推進事業費
事業期間を29年度まで延長するため法改正を行う予定。農業用排水路の浚渫を対象事業に追加した上で、25年度は1100億円(前年度同額)を計上する。地方負担は全額地方債(緊急浚渫推進事業債)を充当できる。
◆公共施設の総合的・計画的管理
各地方公共団体は、見直しした公共施設等総合管理計画および個別施設計画に基づく公共施設の適正管理の取り組みを着実に進めていただきたい。「公共施設等適正管理推進事業費」は、集約化・複合化事業の対象に施設除却事業を追加した上で、25年度は5000億円(前年度比200億円増)を計上する。複数の地方公共団体による公共施設の集約化に向けた調査検討経費および集約化経費について、新たに特別交付税措置を講ずる。
◆担い手確保・育成
地域のニーズや時代の変化に対応した高校教育を推進するため、地方交付税措置の創設・見直しを行う(①都道府県が地域産業界との連携協定に基づいて実施する学科の新設・再編に要する経費②市町村が地域の公立高校との協定に基づいて実施する産業界と連携した人材育成経費)
◆施工時期の平準化
各地方公共団体の25年度予算に計上する公共工事について、ゼロ債務負担行為を適切に設定するなど、施工時期の平準化に向けて積極的に取り組んでいただきたい。長時間労働を防ぎ週休2日が確保されることを前提とした工期の設定、急激な物価変動を含む市場の最新の実勢価格を反映した適正な予定価格の設定、契約後の資材や労務費の高騰の変動に備えた、いわゆるスライド条項の運用など発注関係事務の適切な運用に取り組んでいただきたい。
◆PPP/PFI
公共施設の整備・運営に民間の資金や創意工夫を活用することにより、効率的かつ効果的で良好な公共サービスを実現するため、公共施設等運営権制度の積極的導入や公共施設の維持更新・集約化への多様なPPP/PFI手法の導入を推進すること。