栃木市の大川秀子市長は28日、第1期分譲の「栃木インター産業団地西地区」(吹上町、野中町、先行分譲約14・2ha)のA~C3街区約13haにNTTグローバルデータセンター(資本金72億5000万円)が進出しデータセンター(DC)2棟と付帯施設を整備すると発表した。1棟目は28年度、2棟目は31年度の操業開始予定。3街区への投資額は2500億円に上る。H街区約1・2haには隣接企業の不二ラテックス(資本金6億4300万円)が拡張用地を求めた。2社とは24年度末に契約を締結する。北地区約27haは26年度の市街化区域編入とともに造成工事着工を目指す。
市によると、内定企業はNTTグループの中でDC需要に対応し用地選定・建設・維持管理運営までを一元的に管理する投資会社。データの格納庫を整備の上、取引企業に棚を貸し出すイメージ。各企業は必要なデータを自由に出し入れするという。
西地区は東北自動車道栃木ICから北西方向約500mの約23・1ha。東北道と十字路交差する主要地方道栃木粕尾線(都市計画道路3・3・201号新栃木尻内線)の西側沿線の将棋の駒型用地を開発。事業期間は21~25年度の5カ年間。
造成が順調だったA~C、H街区を第1期で分譲。1平方m当たりの平均分譲単価は2万4400円に設定。A~C街区はDCや半導体関連分野に限定。H街区は拡張希望の不二ラテックスと調整した。24年9月3~13日にかけ、進出企業を募集。2社が内定した。
経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略」関連事業者は分譲価格5%引きの優遇措置。NTTグローバルDCはA街区約4・5ha、B街区約6ha、C街区約2・5haを取得する。2棟のDC稼働後は年間約20億円の固定資産税と都市計画税の増収を試算する。
新たな雇用はNTTグローバルDCが80人、不二ラテックスが30人の計110人を見込む。地域経済への波及効果は建設費、原材料需要、雇用者所得、技術者の移動による交流人口の増加、ホテル業や小売業の売り上げ増が多大になると期待している。
DCは高圧電力が必要であり、A街区近接地に宮町開閉所が立地。100MWの電力を供給する。電力高圧線は小山変電所を経由し西から北へ、佐野変電所から北上し合流。2系統での増強が可能とみる。自然災害に対応し、地下埋設型が有力。
市は進出企業の投資額や納税額に見合った企業立地奨励金の交付限度額を検証した結果、現行の上限額3億円の拡充が不可欠と判断。25年4月から限度額の上限を10億円に引き上げる。他の半導体・デジタル産業関連事業者誘致のインセンティブとする。
立地奨励金の改正案は「地域未来投資促進法で定める重点促進区域」を対象に、固定資産税及び都市計画税相当額を交付。交付期間は5年間。交付要件は特別高圧電力の受電施設は建築確認申請後5年以内の操業開始。市内在住者の新規雇用5人以上。
西地区用地は東端部の栃木粕尾線沿いに張り付くE街区約0・8ha、F街区約0・9ha、D街区約1・3haが未分譲。土地区画整理事業による基盤整備後、計約3haは26年度にも第2期分譲を開始する計画。E~D街区整備と併せ、北地区計画を立案する。
大川市長は「栃木ICは供用開始から53年が経過。優良農地で開発制限があり、これまでは手付かずのまま。多くの関係者の努力で開発が進み、時代の潮流に合致するDCの誘致に成功した。貴重な税収は市民サービス向上の形で還元する」と語った。