国土交通省は建設リサイクル分野における早期に取り組むべき施策として、建設発生土の有効利用促進のための情報交換システム一体化と、建設廃棄物リサイクル推進となる再生コンクリート骨材の再利用を打ち出した。今後は課題を整理し、春頃には有識者会議による提言中間とりまとめ案に盛り込む考え。これらは1月29日に開かれた社会資本整備審議会・交通政策審議会の小委員会で説明が行われた。
建設発生土の有効利用促進に向けては、現在3つある情報交換システムを一体化して強化する。名称を『コブリス・プラス』とし、5月にも運用を開始する。官民一体となったマッチングにより、現場内・工事間の有効利用を促進。システム利用者増、登録件数・土量の増、マッチング件数の増を見込んでいる。なお、システム変更だけでは有効利用が進まないことも想定され、第3者による調整役の必要性も挙げられている。
建設廃棄物リサイクルについては、コンクリート塊を再生材として搬出する先が少ない状況。このため建設業界では、再生骨材コンクリートの公共工事における利用を期待している。
再生骨材はモルタル付着度の多い順にL・M・Hの3種類がある。同省ではこのうち、価格が通常コンクリートと比べて同額以下のMについての利用を重視。ただし、再生骨材コンクリートは用途に制限があり、Mの場合は乾燥収縮による影響を受けにくい部位(重力式擁壁や根固めなど)となる。このため利用基準などを今後は整理する必要がある。
また通常の生コンクリート工場は全国に約3000あるが、再生骨材コンクリート製造工場は全国で20工場。このため供給できるエリアが限られていることも課題となっている。これについても技術的検証を行って、利用拡大の検討を進める。
小委員会では今後2回の議論を行い、これまでに検討してきたCO2排出抑制に向けた評価方法、災害廃棄物の建設資材への活用、建設リサイクル分野のDX推進なども含めた提言中間とりまとめ案を作成する。