関東地質調査業協会埼玉県支部と埼玉県地質調査業協会(越智勝行会長)は24日、地盤工学会関東支部埼玉グループとの共催で、本年度の技術講演会をさいたま市文化センターで開いた。当日は会員や自治体職員、建設産業関係者らおよそ130人が集まった。
今回の技術講演会のテーマは「もう一度考えよう 地震時の液状化について」。昨年元日に発生した能登半島地震による液状化被害を受け、液状化被害や地震に関連するテーマで各分野で活躍する3人を講師に招いた。
講演に先立ち越智会長は「能登半島においては元日の地震と9月の豪雨により、複合災害による甚大な被害が発生した。また、首都直下型地震は、いつどこでどのような規模で発生してもおかしくない。全国各地で実施している防災訓練は、手段であって目的ではない。これまで見過ごされてきた課題をあぶりだし、新たな一手を打ち出す契機としてほしい」とテーマの重要性を強調。続けて「液状化問題も見過ごされてきた課題。戸建て住宅や緊急輸送路などもこれまで以上に、より具体的な調査が必要。対策工事の立案が重要だと考える」と述べ、今後の防災・減災の一助になることを期待した。
講演は最初に、防災科学技術研究所主任専門研究員の先名重樹氏が「令和6年能登半島地震液状化被害の分布と特徴」として、液状化発生地点の特徴や過去の液状化被害分布との比較、さらに現時点での液状化ハザードマップとの比較等を解説した。次に、だいち災害リスク研究所の横山芳春所長が「液状化被害を中心とした地震災害の初動調査の重要性と優先度を意識した命を守る地震防災」について講演。能登半島地震における盛土地盤等の常時微動探査の事例と、各知見に基づいた優先度を意識した命を守る地震防災について説明した。最後に、県危機管理防災部危機管理課普及啓発担当の山﨑修主幹は「埼玉県の地震被害想定と3つの自助の取組」について、県が特に推進している3つの自助と、能登半島地震を教訓とした個人の備えを紹介した。講演後、それぞれ質疑応答が行われ、会場の参加者からは多くの質問が出された。
写真=会場からは多くの意見が出された